10話 ---侍従事情---
厨房長に作ってもらったのはカラメルソース。
これは、仕上げに沸騰水が爆ぜて少々危険なので、レシピ漏洩承知で作ってもらったのだ。
残った材料も処理してしまおう。
今度は、カラメルソースをあらかじめ下に垂らしておいて、卵乳液をそっと注ぎ込んでゆく。
ラーヤに続けて、侍女、侍従君にも焜炉を動かしてもらった。
黄色や紫、緑に赤と色とりどりの魔力色が見えた。
魔力色は違えど魔法焜炉は同じ動きをしていた。
計30個のプリンが完成した。
箱を用意してもらい6カップ×5箱作り、氷室へ運んでもらう。
プリン製法に緘口令敷きたいが…製法は、材料=厨房長から、遅かれ早かれ推測される可能性はある。
が、それ以外に今後、僕に関して秘密が増えてくることだろう。それを黙っておいてもらうには…
…
この4人、僕付きになる事が多い。
「ラーヤ。ここの4人を僕の専属にすることに何か問題はある?」
彼女は、皆の顔を見回してから
「ヒロ様のお世話を、専属で固めるには、侍女はあと一人は欲しいところですね。侍従も2人体制である必要があります。」
う~ん、人数足らないか。
「発言。よろしいでしょうか?」
と侍従君が挙手
「いいですよ。なんです?」
「この屋敷には、双子の兄も務めております。専属にしていただくならば、兄弟まとめて専属にしていただきたく思います。」
孤児の場合、兄弟で同じ屋敷に務めることなどめったにない。
孤児院卒院は12歳なので、卒院時の使用人募集により勤め先が振り分けられるので、よほどの偶然がない限り再び出会うことはない。
この兄弟の場合、双子ということもあり、父が珍しがって(強引に)召し抱えたとの事。
いつも、この侍従君だけしか顔を見かけないと思っていたが、兄弟交代で僕に就いていたのか。
「解りました。父に許可を貰いましょう。で名前は?」
「自分はモドアリティ。兄はドコデリットと言います。」
えっと、兄『ドコデリット』弟『モドアリティ』。
兄『ドコデ…』弟『モドア…』。………
………名付け親!前に出てこい!誰だ!ネタに走ったやつは!
作者「はい、私です。」




