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第一話 まだ日常

 それは、(プロローグ)から3か月前の春のこと。


「ホームステイ?」

「ほうはほ。ほふへんひっへ」

「口にものをいれて喋んないい大人が。せめて飲み込んでから喋ってくれ」


 まだいつもの日常。

 ちょっとだけ違うことと言えば、いつもは日の出とともに仕事に出掛ける母さん、日堂真澄(ひどうますみ)が俺が作ったトーストとサラダ、ベーコンエッグ等の朝食を取るくらいには余裕があったことくらい。

 ちなみに父さんと姉貴がいるんだが、二人とも仕事の関係上、出張が多いため家に帰ってくる方が珍しい。

 まぁ、それはさて置いてだ。


「ホームステイって、誰を?」


 そう。先程母さんから聞いた「ホームステイ」という言葉。

 それに疑問の声を再度投げ掛ける。

 母さんは口にいれたものを呑みこみ、コーヒーを一口飲んでからうなずいた。


「うん。まず、母さんがどういう仕事してるかは知ってるよね?」

「仕事って、あの通行門の?」

「そそっ」


 通行門というのは、俺が生まれる前に突如できた異界に繋がるバカでかい光の柱のことである。

 なんでも、そこからエルフやドワーフをはじめとした亜人種などが雪崩れ込んできたのである。

 最初こそ政府も警戒していたのだが、会話が通じ、尚且つ向こうに侵略する意思はないということ。

 そしてむこう側からしても光の柱がなぜ出来たのかわからないということで、そこら辺でうまいこと和解し交流を持つ、ということになったとか。

 そして、政府は光の柱の調査、及び警護をしているのだが、母さんはそこで働いているのだ。


「そこでお知り合いになった方の子どもがね、今度あんたが通ってる学校に編入するって言ってるのよ」

「あぁ、なんか聞いたことあるような」


 確か蓮司とかその手の情報に詳しいやつが騒いでたような気がする。

 自分には関係ない話で半分も聞いてなかったけども。


「なんだけど、あちらさんも仕事の関係上家族でこっちには来れないみたいでね」

「それでうちにってこと?」

「そう。部屋は余ってるし、いいかなって」


 確かに部屋は余ってはいるが・・・・・・


「そうならそうと俺に相談してくれよ」


 友人を止めるならいざ知らず、しばらくここに住むとなるならちゃんと出迎えた方がいいのに。


「あら、だから今相談してるじゃない」


 あっけらかんとした表情でコーヒーをすする母さんに頭を抱える。


「・・・・・・で? そのホームステイする人はいつ来るの?」

「今日よ」

「ならもっと早く言えよ!?」


 悪びれず宣う母さんにテーブルを叩いて抗議する。


「ってか事後承諾!? なんの準備もできてないってのに受け入れるって・・・・・・」

「いいわよ~そんなかしこまらなくたって。向こうも寝る場所あればいいって言ってたし♪」

「いや、少しは気を使えよ!? というか、母さんがそれ言うなよ!?」

「あらやだもうこんな時間。そろそろ行かなきゃいけないわー」

「聞け人の話! ちょっ、逃げんなな------」


 母さんが腕時計を見てわざとらしく声を出すとちゃちゃっと食べた皿をシンクに置いて家を出ようとする。

 俺は逃がさんとばかりに手を伸ばしたがひらりとかわされてしまった。


「あ、ちなみに先方のあの子達ら学校の手続きとか終わったらすぐ家に行くって言ってたから、あんたも学校終わったらすぐに帰ってきなさいよ? じゃーねー」


 言いたいことだけ言って母さんは脱兎のごとく出ていってしまった。


「じゃーねじゃなくてもっと説明を・・・・・・ん?」


 声を荒げて母さんに再度説明を求めようとしたが、なにか気になる言葉を言われた気がして俺はピタリと思考が止まった。


「あの子、達?」




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