痛みを和らげるもの
何となく思い付いてしまった「夏の涼」企画の擬人化第2段の作品です。
決して官能小説ではないので勘違いしないでくださいw
痛い… 痛い…
どうしてこんなにも痛いのだろうか?
君が傍にいないだけで…
どうしてこんなにも辛いのだろうか?
胸が張り裂けてしまいそうな
身体の内部から感じる激痛
それはまるで身体を痺れさせるがごとく
もう駄目だ…
君がいなければ僕はこの痛みに耐えられない
僕は熱すぎる太陽が照りつける陽射しの中へと
君の姿を求めて外気をさまよう
汗が滴り落ちるほどの湿った空気がじわり、じわりと僕を襲う
そんな苦しみを押し退けながら
僕は君を探し続ける
君がいる… あの涼やかな場所を求めて…
ここにもいない
ここにもいない
僕は君の姿を求めて君がいそうなお店を回る
いた…
僕はようやく ある店で君の姿を見つける
清涼感が漂う清潔なお店の中で君は静かに佇んでいた
そんな君の姿を見つけて僕は安堵の溜め息を漏らす…
もう離さない…
一緒に帰ろう…
僕は君の身体に手を回すと胸の中へと引き寄せる
君を大事に抱えながら僕の家へと君を連れていく
もう我慢できないっ!
僕は家に戻るなり君の装いを奪い去る
君の雪のような白い素肌が露になり
僕は透き通る最後の一枚を剥ぎ取って君を僕の身体へと直に触れさせる
君が触れた その場所が
ひんやりとした冷気を感じさせ
やがて熱を帯びていく
気持ちいい…
なんと気持ちがよいものだろうか…
僕は時間を忘れて君が伝える心地よさに身を委ねていた
気が付くと君は何時の間にやら僕の肌から離れていた
『これでおしまい… 』
と言わんばかりに僕の肌から剥がれ落ちていた
僕は離れてしまった君を再び肌へと触れさせたが…
力を失った君に最初のような心地よさは感じられなかった
終わったんだ…
これで終わりなんだね…
ありがとう…
とても気持ち良かったよ…
僕は離れてしまった君に白いドレスを装うと静かに別れを告げた
僕が感じていた痛みはもう存在しない
君に満たされたおかげですっかりと僕の中から消え去っていた
一時の涼を感じさせてくれたそんな君は…『湿布薬』
この作品を読んで涼しさを感じていただけたのであれば幸いです。
捉え方によっては涼しさよりも熱さの方を感じてしまわれる人もいるかもしれませんね。