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第6話

 「いやがらせや脅迫ならこれまでもあったんだけどさ。不戦が不文律のレイラアドリアで実力行使とはねえ」


 灰色の輪っかを宙に浮かせながら、女性は煙の消えゆく様を見つめていた。物憂げ、驚き、悲しみ。静かにして、表情には複雑な感情が入り混じっている。


 「南部所属の猟兵団とくれば王国でも有数の実力部隊だ。あんなの相手にしてたら命の二、三個じゃ足りないぜ」


 ケースから一本取り出した煙草を女性にすすめられたが、トールは手の平を立てて遮った。監視の目はないはずだが、エスタからおごってもらった一杯を思い返したが故だ。


 「うすうす、犬に追われてる気はしてたけど、よもや猟犬とはね。恐れ入ったよ」


 国家の正規兵を指して「犬」という表現なのだろう。恐れ入った割に飄々としているあたり女性の肝っ玉も大したものだとトールは感心する。


 「訳ありの子か」

 「ここはレイラアドリア。訳のない人間を探す方が大変だろうさね」


 グラスに入れていた酒を飲み干すと、女性はテーブルにことんと置いた。酒瓶から新たな酒をトールが注ぐと、揺れる表面をじいっと見つめる。


 「行く宛てがない、金もない。レイラアドリアに足を踏み入れる女性だって色んな形があるもんさ。大概は生きる希望も失って、話しかけても俯いたままだったりしてる」


 でもね、と女性は苦笑する。


 「あの子も例外じゃなかった。この世のすべてが信じられないって目をしてた。それでも声をかけたとき、あの子はまっすぐに私を見たんだ。どっちが値踏みしてるのかわからない程にね。で、接してるうちにわかったんだ。この子に商売はさせられないって」


 「声、か?」

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