第六話・THE・ERROR
清道side
―――医者先生の車、オッドアイの車、オレンジ髪の車、‥‥…こんなもんかな
丁度、この作業が終わったと同時に「運営」の声が響いた
「皆様、大変長らくお待たせいたしました。これより、レースゲームを開始いたしまぁす」
「始まっちゃいましたね」
「ああ、そうだな。姉御。ハッキリ言ってすこぶる相性が悪いんだよなぁ。このゲームと俺たちの能力」
能力が与えられているというのなら、恐らくゲーム内での使用は(言及されていないが)許可されている
物と思っていいだろう。
と、言うことは妨害される可能性はあるのだが、俺こと成神・清道の能力は非戦闘能力なので
そもそも戦闘に加わることができない。工夫すればある程度戦えるかもしれないが。
対して天ノ川・明の処刑執行人は戦闘向きだが、些か厄介な条件がある。
〝罪〟と認識しなければ、切り殺すことは出来ない
一見簡単かもしれないが、この罪は法律上の犯罪を指すので、例えば、物を引き寄せる能力者が
俺たちに能力を発動させ、銃弾でも引き寄せた場合。相手が分かっていればいいが、
分かっていなければ一方的にやられるだけ。任意で身を守れないという大きな欠点がある。
最も、処刑執行人もジ・エラーも近接なので遠距離攻撃されればはじくだけで精一杯。
鎌を投げればできるかな?ぐらいでしかない。そもそも鎌なんて重いものを飛ばせるか。
二メートル近くある鋼鉄製の鎌だぞ。
「ねぇ?」
「いや、頑張ればできますよ」
ほら、頑張ればできるって…‥‥え?
「さぁさぁ、皆さま、とっととレースカーに乗り込んでくださいね、時間押してるんで」
そういわれると、皆々車に乗り込み始めた。おどおどと乗り込む輩と、平然と乗り込む輩の二種類いる事に気が付いた。恐らく、ゲームに慣れている連中だろう。医者先生、オッドアイの人、オレンジ髪。
この三人は後者である。
「‥‥予想道理。やっぱ強い部類の奴等なんだろうな。‥‥‥ん!?」
そしてもう一人、漆黒に輝く肉体を持つ石像のような男も平然と乗り込む。
「え?いや、嘘でしょ?なあ姉御」
「何やってんですか、早く乗り込んでください」
「え、いや、えぇ…‥‥」
渋々と乗り込んだ。さて、下らないことに頭を働かせるのはよそう。
一番前に出過ぎると、後ろから攻撃されかねない。中央は論外だ。
前からも後ろからも攻撃される恐れがある。後ろは…‥前からの攻撃は躱せるかな?微妙だな…‥
「スリー!」
「私たちの能力は不利なんですよね」
「トゥー!!」
「ああ、そうだな」
「んじゃあ、どうするんですか?」
「こうすんのさ」
「ワン!!!」
「ジ・エラー。〝走る〟という機能を消した」
ジャック・ルーリリィSide
ここ最近、全くというほどついてない。疑似海に落ちたり、ベルフェと組まされたり、
挙句の果てに‥‥‥
「誰かに細工された~!!車動かない~!!」
「zzzzz」
こちらは困り切っているというのに、相方は隣で呑気に昼寝と来た。
「~~~~ッ!!スタッカー―――――」
「あのぼさぼさ髪の車を奪えばいい」
「わっ!起きてた。ぼさぼさ髪?」
「この車にベタベタ触ってた高校生。恐らくそういう能力‥‥‥zzzz」
「よく見てるな‥‥っていうかまた寝た!!起~き~て~」
清道side
誰にも邪魔されず、悠々とレーシングカーでドライブ。後はギミックに気を付けつつ、
ガン!!
(誰も車のハッチの上に乗ってないといいなぁ)
「はぁ、追いついた。眠い」
「ここで寝たら落ちるよ。てか、散々寝といてまだ寝るの?ベルフェ」
後ろを振り向くと、オレンジ髪の少年、そして矢鱈眠そうな青年のコンビ。青年の方の名前は
ベルフェというらしい。あだ名かもしれないが。
「さぁてと、後はこの子達を物言わぬ死体にすればいいわけだ」
「zzzzz」
「起きろ!」
何だこの凸凹デコボココンビは。
「あの、姉御。勿論俺の事守ってくれますよね‥‥?」
「さぁ、どうでしょう」
こっちは凸凹どころか、ガタガタコンビだな。
「もういいや。この人の報酬は半分にしてもらおっと。スタッカート」
彼の目の前に、黒い球体状のナニかが現れた。それが刀状に変形する。
「マジで異能バトル見たくなってるし。ったくめんどくさい」
ハンドルを思いっきり、左に切った。二人の身体が宙に放られる。
「わっ!!」
「zzzz」
「しっかり当てろよ、クソアマ」
「分かってるわよ、クソ野郎」
┃五十嵐・天音いがらし・あまね17歳♀
職業 高校生
概要 ツインテールで、顔が可愛く、胸も大きい。他の生徒と一線を画す美しさで、他の人からは
高嶺の花と、近寄りがたいイメージがあるが、普通に気さくで話しやすい。
数年前まで、ストーカーに悩んでいた。彼女は、バイトが終わり、家路についている時に
何者かに眠らされた結果、拉致された。
能力 ┃血塗れの粘着愛ブラッディ・ガム
ガムのすべてを操る能力。色や形は勿論、液体や気体にまで変えられる。
硬度も変えることもできるが、勿論限度もある。作中で1~2を争う最強の能力。
ちなみに
最後のセリフは、天音のセリフ。ガン!!という音を聞いた瞬間、清道は携帯端末で電話を掛けた。
天音宛に。明さんに放ったセリフは、天音に、『守れ』という指示を出していた。