第三十一話 鉛の賭け
成神side
「何故そんなことを?」
「ん?ああ、特に理由はない。君が面白そうだから遊ぼうかなと思っているだけだ」
「そんな理由かよ……」
しかし、このままでは破産。日本で借金を抱えたとしても自己破産すればいいが、ここでは
それこそカ◯ジのようなことになりかねない。
(それだけは絶対に阻止しなければ)
「OK、やりましょう。ではゲームはどうします?ポーカー?ブラックジャック?まさか競馬とか?」
男は、懐から何か黒い物体を取り出し、こちらに向けた。
「!」
派手な発砲音と同時に硝煙のにおいが香る。その黒い物体は、銃弾を吐き出しはしなかったが
俺の精神を打ち抜いた。
「ロシアンルーレットなんてどうだ?」
「じ、冗談でしょう」
「大マジだ。それとも、やめるかね?こちらには君の借金など軽く払い、二度と借金をしないような額を
かける用意がある」
「あったとしても、それであんたが死んだらどうなるんですか」
「その場合、ディーラーが処理してくれる。そもそもそれで俺が死ぬことは無い」
相当な自信家なのか、もしくはすでに脳に鉛玉が入っちまってイカレてんのか。
しかし、話し方はしっかりしていてかなりの知性が伺える。とても遊びで命を懸けるような
タマには見えない。
「さぁ、やろうじゃないか。ディーラー!」
そう叫ぶと、バチンと手を叩いた。
「ぐぉっ!」
頭蓋骨通り越して脳そのものを鷲掴みにされてシェイクされている様な感覚に陥る。
吐き気と寒気が体の奥から押し寄せ、俺の口に集まった。
「お、おえええ」
「□□□□?□□□□□」
耳から赤い液体が溢れる。手を合わせただけで、俺の鼓膜を破りやがったのか?
なんだよこいつ、化け物か?人間業じゃねえだろ。
どこから現れたのか、人型のロボットがそばに待機していた。
そして、壁の一部分が長方形に無くなっていた。扉ということだろう。
(……やってやるよ。地下で働かせられるよりは化け物と知恵比べの方が俺の得意分野だ)
足をその扉の方へと向けた。




