第二十四話 成神清道とは
清道side
ここは……俺の家か?
整頓された部屋の中で綺麗に皴をのばされたベッドの上に転がっていた。
「あら、清道。またこんなに散らかして」
いつの間にか、母さん……成神・優海が部屋に入ってきていた。
散らかす?何言ってんだよ母さん。ちゃんと整頓してあるじゃないか
母さんは整頓された部屋を散らかし始める。服をクローゼットの中に放り込み、
本棚の本を一巻から十巻まで揃えて並べ始める。
ああ、場所がわからなくなるじゃないか
清道side
ここは、どこだ?
どうやらここは墓地のようだ。だが、墓石が一個あるだけで、そのほかの空間は
どこまでも白い空間が続いていた。
これは夢……だよな。
夢というのは脳が過去の記憶を整理するための過程で見る幻覚。
俺は最近、誰かの墓地に行ったか?
墓地に刻まれた名前を見れば思い出すかもしれない。名前は……
˝成神・優海˝
「……は?」
清道side
「……」
ここには時計がない。今が何時だかわかりゃしない。
いつも8時に起きるってこと決めてるのに。
(なんか重いような)
「お、起きたか」
「あ?なんでお前いるの?てかなんで俺の上に乗ってるの?」
金髪でくりくりした愛らしい目。あの時額にガムぶち込んだ傷はきれいさっぱり
消えてなくなっている。
「そんなことはどうでもいいじゃないか。なぁ、どうだ?私と少しイイコトしな……痛って!」
白衣の男が手で持っているカルテでぴしゃりと叩いた。
(な、こいつ!)
「マモン。全く貴様は」
「いいじゃんいいじゃん。せっかくお前に治してもらったんだぜ。有効に使わないと」
「金儲けのために使うな。貴様はもう少し自分の体を大切にできんのか」
「お前。そっちの白いの」
白衣の男は目が覚めた俺を見るとさも嬉しそうににこりと笑った。
「おお、起きたか。どうだ、体の異常は。俺が斬った傷もすっかり癒えているだろう」
「……俺は敵だったんだぞ。何故助けた」
「敵でも人だ。なら治すのが医者の務めじゃないか」
「俺はフィリップ・B・フォレスト。今日から貴様の主治医だ。一週間は安静にしておけよ」
フィリップside
成神清道。
俺がアルビノだと判断し、いささか驚いたような表情を見せたが、
即座に興味を失い、聞きたいことだけを聞いて黙り込む。
いつも零時に就寝、八時に起床することが習慣づけられているようで
もし七時に起こすと癇癪を起こし、酷く暴れまわり、
それが終わると布団から一日でないこともあるようだ。
今のところ友好的であり、スマホを貸してくれている。
このスマホの情報のとおり自閉症の節あり。
だが、人を傷つけることに何のためらいもないため、過去に何かあるかもしれない。
スマホは過去については特に触れていない。
五十嵐天音。
精神疾患及び、ジ・エラーによる後遺症は残っていないようだ。
特に敵対的ということはなく、治してもらったことは恩を感じているようだ。
成神のことを酷く嫌っているようだ。
女性、とくに自分のファンに対して何故か恐怖心を抱いており、
彼女のスマホにも特に何か書いてあるわけではなかった。
如月伊月。
体が大きく、いかにもスポーツマンのような体つきをしているが、
知能指数があまり高くはないようで、半分本能で動いているようだ。
傷の治りは順調。妹がいるようで妹のことをしゃべるときが一番楽しそうだった。
幼いころに親を亡くし、それからも何度か養子に迎えられたことがあったが
何故か全員死去している。今は肉親が妹のみ……
「中々面倒な奴らばかりだな。心のケアも大変そうだ」
「大変そうだな。フィリップ」
寝起きでぼさぼさの髪を整えながら、ディザエルが言った。
「起きたか、パツ金。帽子はクローゼットの中にかけてある」
「かけてくれたのはお前か?」
「そんなわけないだろう。貴様のガールフレンドだ」
「アメリアか。後で礼を言っておかなくてはな。さて……」
クローゼットからシルクハットを取り出し、被る。
「この子たちは面会謝絶というほど酷くは無いんだろう」
「……まぁな」
「彼らと会いたい。了承してくれるな」




