第二十二話 変態殺人鬼、マックス・バートレット
マックス・バートレッドSide
がりがりがりがりがりがりがりがりがりがりがり―――――
諸君、今なぜ僕は爪をただひたすらに齧っているのだと思う?
それは僕が洋ナシのような名前であるとか、こんなゲームに放り込まれたからというわけでもない。
ブチッ
「ギッ!」
爪がはがれてしまった。すこしばかり赤い血が滴り落ちる。まぁそんなことはどうでもいい。
問題はだ。問題は…‥
美男美女が少ないということだ‥‥
まぁ、そりゃあ容姿のいいものはゴミとして捨てられたりはしないだろう。
容姿のコンプレックスでここに来たものも少なからず存在する。
それは分かっている…‥わかってるんだが‥‥
「ええい、畜生!」
力任せに壁を殴りつける。
(あ、穴開いちゃった)
だがまたすぐに修復される。しかし殺風景な部屋だ。あるのはテーブルとベッドと
注射器だけ。それも自分自身に使ってしまって既に空。
つまらない。これで〝彼女〟が居れば‥‥‥
・・・・・・・・・・。天ノ川・・・・・アンジェロ・・・・
思い出したら腹が立ってきた。次あったら、必ず殺してやる・・・・
ただ白かっただけの壁がギイイと音を立てて開いた。
ゲームのお時間ですか。もしここに美男美女が居なければユーカもついでに殺そう。
円Side
外に出ると、そこは鬱蒼とした木々の中だった。薄暗い森で枝がカサカサ揺れる。
上を見上げてみれば、煌めく星々が浮かんでいる。かなり遅い時間らしい。
(ちょっと怖いな)
「ぽぉちや~」
ぽちや?たまやじゃなくて?
「おぉじや~」
ああ、おじやおいしいよねって、誰だ!?こんな時にこんなふざけたこと言ってる奴!
「ないや~、違う。こういう時日本でなんて言うんだっけ?」
「たまやだよ!しかもそれ花火でいう奴だし!」
今までは、その声は数十m程先だった。ふっと、耳元に風が当たった。何度も、何度も、
湿った風が、耳元だけに。そして耳元に、
「ありがとう、教えてくれて」
爽やかな声、しかし、はらわたの奥底まで冷めるような冷徹であり情け容赦など微塵もないような声。
振り向いた。整った美しい顔、180もあるすらっとした体形。それが刃渡りの長い刃物を掲げ、
満面の笑みをたたえていたらどうだろう。恐怖でしかない。
「もし君がいなかったらユーカもぶっ殺してやろうと思ったけど……意外と捨てたもんじゃないね」
「ユーカ?」
もしかして、このゲームの主催者か?そうだとして、なぜこの人が知っている?
「それじゃあ、ね」
彼は、その刃物を私に向けて振り下ろした。
「おい」




