第二話 処刑執行人
【THE・player】ルールその1
ゲームクリアの報酬は、ゲームの難易度によりポイントをゲットできる。
ポイントはエントランスで様々なものと交換できる。
他のパートナーにポイント、及び食料などの譲受は全面禁止。破った者は、重い罰を科せるものとする。
清道side
どういうことだ?意味が分からない。
特殊能力?デスゲーム?
何故俺がこんなことに巻き込まれなければならないんだ!!
その時、バン!という音をたて、何もない真っ白な壁のはずだった場所が扉のように開いた。
そして長いアホ毛とクリっとした可愛らしい目を持つ、黒いスーツを纏った女性が中に入ってきた。
「あら、お起きになられましたか?」
「‥‥…どちら様で?」
彼女は足で扉を閉め、ツカツカと俺の隣まで歩いてきた。そして深く腰を折り、
自己紹介を始めた。
「私、天ノ川・明と申します。
よろしくお願いしますよ♪」
「僕はあなたとよろしくはしませんがね」
こんなところに拉致されて、おいそれと人を無条件で信じられるほど、俺は人ができてない。
しかし、………
「まぁここから出たいというのも本心ですしね。手を組むぐらいなら」
そう言って手を差し出した。彼女は俺の手首を掴み、手のひらを自分の胸にあてた。
「えっ?」
そして、何処からともなく取り出した真っ黒な鎌を首元に着きつけた。
「‥‥‥…」
「ホントにできるんですねぇ。特殊能力。」
(怖いよ、この人)
ピーンポーンパーンポーン。
携帯端末から間の抜けた音楽が聞こえてくる。そして《ユーカ》の声が続けて飛んでくる。
「皆様、お待ちかねのゲームのお時間でございま~す。今回はレーシングゲーム。
皆様の爆走をご期待していますよ?それでは」
言うだけ言って、一方的に切った。せめて、パートナーを変えてほしい。
成神・清道(18)♂
職業 高校生
概要 学年順位はいつでもナンバー1。学校をさぼり、家で昼寝した結果、拉致された。
髪がぼさぼさで、生きているはずなのに目に光がない。パートナーは天ノ川・明。
能力 ┃THE・Error
触れたものの機能を消す。重力や、光や、人間の意識までも消し飛ばせる。
ただし、戻すことは自由ではなく、復旧は3時間かかる。
天ノ川・明(23)♀
職業 弁護士
概要 天ノ川法律事務所の所長、天ノ川・修一の一人娘。自他認める天才弁護士。
ただし、本当に法律を犯したと感じた依頼人は断り、検察を裏から助けることも。
有罪となり、逆恨みされた元依頼人に刺され、病院に運ばれた結果、拉致された。
能力 処刑執行人
自分が〝罪〟と感じた人間に対し、罪の大きさに関わらず鎌を出現させ切り殺す。
これは悪魔でも処刑執行なので、例え誰に見られようとも、咎められることも、裁かれることもない。
ただし、自分が〝罪〟と感じていない人間に対しては殺すことができない。