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紅華~紅ノ華、赤ノ上二咲キテ~  作者: Riviy
第六陣 全テノ決着ヲ
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第八十四話 再戦の約束


影から逃れられた紅葉達四人が意思が宿る瞳を『隻眼の双璧』に向けていた。その瞳に、もう()()()戻ることのないその瞳を真に受け、ミオが一瞬、呻いた。嗚呼、それでも、アタシ達は、()()()()()()。弾かれてしまった長剣を手にし、真っ赤に染まった手首を舐める。その動作に再び恐怖と悪寒がしたが、もう怖くはない。紅葉の背後には薙と雛丸を救出した際に使用した式神達が悠然と、威厳を持って佇んでいた。だがそれが攻撃してくる事はなく、それら全てが紅葉の大鎌に紙へと戻ってまとわった。新しい能力か、それともそういう効果か。リンとミオには知るよしもないし要らない情報だが、それでもまだ自分達が勝つと信じて疑わなかった。だって、自分達は最強と名高いんですもの。『勇使(彼ら)』に恥じぬ、相方なのだから。きっと、取り戻す。


「…まだやる気か。学習能力がない奴らだな」

「おや、それは分かりませんよ?」


リンの言葉に白桜がクスリと笑いながら返す。その笑みがなんだか気に食わなかった。全ての影が戻り、真っ黒に、輝く漆黒に染まった脇差を構え、リンは愉快そうに笑った。ミオがそんな彼の様子を見て、ニヤリと笑った。それに薙も笑い、刀を構えた。


「さあ、もう一戦、やろうじゃないか!」

「ボクたちが勝つ未来を、叶えてあげる!」


薙の力強い言葉に同意するように雛丸が叫んだ。そして、紅葉と雛丸が大きく跳躍した。先程の騒動中に固有能力で怪我は多少治療した。だから、思う存分暴れる事が出来る。リンとミオも跳躍してきた二人に向かって跳躍し、両者はほぼ空中で刃を交差させた。凄まじい力の波動が周りの砂を巻き上げ、軽い砂嵐を巻き起こす。最初に足がついたのは紅葉で目の前にいるミオの手首を狙い、足を振り上げた。その行動に気づいたミオが大鎌を弾き、片腕で防ぐ。だが紅葉はその態勢のまま、自身の背後で大鎌を一回回すとミオの足元目掛けて振り回した。慌てた様子でその一撃を避け、態勢を低くした彼女の頭上から紅葉の大鎌が大きく振り下ろされた。素早い瞬発力で右にずれる。が、その時、肩に違和感を覚え、肩に視線を移した。そこには真っ赤に染まった一線があった。恐らく、紅葉の大鎌にまとった式神達がミオを攻撃したのだろう。彼女と同じくらいのスピードで。その事実にミオはクスリと、口角を三日月のように、口裂け女のように歪めて笑った。その笑みに紅葉は一瞬、顔がひきつった。


「嗚呼、面白イ!」

「それは、光栄って言った方が良いのかな?」


クスクスと笑うミオに向かって紅葉は一蹴し、迫った。が、ミオが軽く足を後方に引いたことに気付き、手前でその足を止めた。なにか来る、そう直感的に感じた。気づかれた事にミオは嘆く様子もなく、態勢を低くして、後方へ引いた足で地面を力強く蹴った。蹴った衝撃で地面がクレーターのように凹んだ。その衝撃的な事実が『隻眼の双璧』と呼ばれる所以を垣間見た気がして震えが止まらない。瞬きを一度した瞬間、ミオが紅葉の目の前で長剣を振り上げていた。先程よりもスピードが増してる?!そう思った途端、長剣が紅葉の頭を目指して落ちてくる。思わず紅葉は左へ転がった。ドガン、と振り下ろされた長剣で地面が凹んだ。凹んだ衝撃で破片が紅葉の方向へ飛んで来た。その一つが紅葉の頬を掠り、浅い一線を刻んでいく。その破片を腕で振り払いながら、女性とは思えない攻撃を繰り出したミオに向かって大鎌を振り下ろす。ミオは素早い動きで大鎌の攻撃をかわすと紅葉の懐に迫った。そして、片足を振り上げ、紅葉の腹を蹴った。突然の蹴りに対処が出来なかった紅葉は後方によろめきながら、空を切っていた大鎌を自分の方へ引いた。横目でその動きに気づいたミオが上へ跳躍する。しかし、それも紅葉は予想済みだった。よろめいた際に後方へ引いた片足に力を籠め、自身も上空へ跳躍した。先に跳躍したミオが紅葉に気付き、長剣の切っ先をこちらへ向けながら、勢い良く降下を始める。それを見て、紅葉は笑った。大鎌をブン、と振って刃にまとわった式神達を一旦元の姿に戻す。多くの式神達が自分の背後に控えているのを気配で感じながら、人差し指と中指を合わせ、ミオに向けた。


「行け!」

「!?」


紅葉の指示と共に鷹も全ての式神達がミオに襲いかかる。空中戦では鳥類には勝てないと悟ったのか、彼女は長剣を突き刺しつつ、片腕で顔を防いだ。


凄まじい攻防の繰り返しに雛丸は軽く息を吐いた。リンの攻撃も防御も雛丸よりも早い。だが、固有能力を発動しているため、リンの凄まじい動きについて行けている。雛丸は交差したナイフをギリ、と動かし、脇差との隙間を作る。そして片手の短刀をできた隙間に滑り込ませた。滑り込ませた瞬間に二つに刃を勢い良く振り上げ、脇差を弾き飛ばす。リンが後方に素早く下がり、影に潜り込もうとする。雛丸は大きく足を踏み出すと下半身が影に埋もれたリンの上空を通過し、その切っ先を背後から当て、容赦なく振り切った。


「よしっ!」


切った感触があったことに雛丸は思わず、歓喜の声をあげた。一瞬綻んだ頬をキッと引き締め、姿を消したリンを探す。と、背後で気配がした。雛丸が背後を振り返りつつ、短刀を振り回すとカキンと甲高い音が響いた。半回転し、後方を振り返った雛丸はそのまま跳躍し、二つの鋭い刃をリンに突き刺した。だが、それらを彼は首を傾げるようにかわすと脇差の柄で雛丸の鳩尾を殴った。途端、勢い良く跳躍していた雛丸の体は地面に引き寄せられるように落ちていった。痛む鳩尾を押さえながら、頭上から振ってきたリンの攻撃を転がって避けると上半身のバネを使って起き上がり、タイミング良く振り回された脇差を防ぐ。バッと軽く受け流して態勢を立て直すために後退する。その時、雛丸はリンの持つ脇差の異変に気づいた。黒い靄のようなものが脇差から漂っており、それはまるで漆黒の翼のように見えた。漆黒の翼を携えた脇差を構えるリンの足元から影が美しく噴き出した。


「……もう一回使わなきゃいけないかなぁ」


雛丸ははぁ、とめんどくさそうな、それでいてしょうがないというようなため息をつき、ナイフと短刀を構えた。そして、笑った。それはリンも同じだった。ブン、と気合いを入れるように脇差を振り、雛丸に向かって大きく跳躍した。クルリと両手首でナイフと短刀を回し刃同士を擦り合わせるとリンの攻撃を回転しながら防ぎ、そのまま回転しつつ脇差を弾く。リンと少し距離を取り、態勢を低くした。そうして、


「来い」

「言われなくても!」


素早い瞬発力がで一気に迫った。


次回作も決まりー数が多くなりましてー…つまりは大変。

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