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紅華~紅ノ華、赤ノ上二咲キテ~  作者: Riviy
第六陣 全テノ決着ヲ
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第七十九話 青と白の花、金の茎



慌てた様子でテントから紅葉達が飛び出すと、突然、神子は立ち止まり、大声を上げた。


「っっっ!群青!」


彼が駆け寄った先にいたのは、血塗れで倒れている群青だった。傍らには花白がおり、服が群青の血で真っ赤に染まっている。


「…う、そ…何が起こったの!?」

「まさか、残党の襲撃ですか?!」


雛丸が口を抑え、驚愕に震える。誰もが残党の仕業だと思った。だが、紅葉は再びあの気配を感じて違うと確信した。そして、大鎌を出現させると武器を手の中で回転させ、自らの影に突き刺した。薙が叫ぶよりも早く影を地面に引き摺るように大鎌を振る。と、その影がぐにょぐにょと蠢いた。その動きは気持ち悪いの一言しかなかった。新たな出来事に驚愕する彼らの前で紅葉が突き刺した影がゆっくりと立ち上がって行く。真っ黒だったその色は次第に別の色も取り入れ、微かに鮮やかになっていく。その正体に気づいた途端、凄まじい殺気と悪寒が襲った。その殺気の矛先はまさしく紅葉達で。誰と云うわけもなく、倒れた群青と傍らに立つ花白と神子を背に武器を構えた。


「本当に此処まで来るとはな。熱烈なファンじゃないか」


からかうように言い放った薙。それに()は鼻で嗤った。


「殺すためだ。そうすれば、()()…」


そこにいたのは以前、紅葉達を襲った『隻眼の双璧』の男性、リンだった。青黒のショートに色も光も失った瞳、右目に眼帯をしている。左耳にガーネットで作った小さなイヤリング。服は真っ黒な革着にボタンを何個か開けたワイシャツ、下は黒の長ズボン。靴はブーツである。リンは袖口から脇差を取り出すとその切っ先を彼らに向けた。


「!薙ちゃん!」

「予想はしてたよネ~?」


反対側からも来る刺すような殺気に紅葉が振り返れば、そこには少女。ミオである。オレンジ色のサイドテールで少し髪を下ろしている。瞳はリンと同じように色もなければ光も失っている。左目に眼帯をしている。白のノースリーブー所々に赤い水玉が出来ているが気にしないーに赤茶のカーディガンを着ている。ボタンは全て外し、短いジーパンにニーハイブーツというラフな格好だ。


ミオは真っ赤に染まった長剣の切っ先をペロリと舐めた。その様子と片方だけが貫く瞳が恐怖を煽った。挟まれた。そう思うのは必然だった。背後には重傷の群青に取り乱している神子。茫然と、真っ赤に染まった手を、群青のブレスレットを虚ろな瞳で見ている花白に至っては双璧の挑発に安易にのり、同じような重傷を負いかねない。それに最強と名高い相方と、彼ら三人を守りながら闘うのは到底無理だ。最悪、三人のうち誰か、確実に群青が死に至る。紅葉の固有能力を使っても良いが、そんな隙を見せた場合、双璧が突っ込んでこないとも限らない。二人一組になってせいぜい足止めが出来たくらいなのに。


「おい神子!革命軍と一緒に此処から逃げろ!」

「なんで、なんでこんな事に…群青起きて!」

「チッ、ダメか」


薙の呼び掛けに神子は反応しない。作戦は完璧だった。なのに、なのに!彼の脳内で急速に脳が回転し、答えを導き出そうとする。だが奇しくもそれは、目の前の真っ赤に染まった群青()の状態で意図も簡単に停止してしまったが。


「もしかして、群青を攻撃したのは君達?」

「うん、そうだヨ~アナタもアノ子も目的のためには、指示のためには邪魔なノ。邪魔者は、排除しなくちゃ。じゃなきゃじゃなきゃじゃなきゃじゃなきゃじゃなきゃ!!!」


紅葉の質問に突然、狂ったように同じ言葉を繰り返し始めたミオ。そして最終的には無感情な声で大声で笑い、長剣の切っ先をリンのように紅葉達に向けた。その目は狂気に満ちていた。


「……狂ってる」


尋常じゃない。正常ではない。目の前にあの最強と名高い『隻眼の双璧(ある二人の相方)』はもういない。それが確定した瞬間だった。二人をこれほどまでに狂わせたのはなんなのだろう?恐らく、異変の原因が関係しているのだろう。その時、背後でゆっくりと花白が立ち上がった。その手には真っ赤に染まったブレスレットを握りしめて。その握り方が尋常ではなかった。怒りに震えているのは気配でもわかった。


「花白様!神子様と群青様を連れてお逃げください!」

「………と……」

「神子さんが予知した『勇使』の相方で最強って言っても良いくらいだよ?!ボクたちが足止めでもヤバいんだから早く!」


白桜と雛丸が彼らを逃がすために叫ぶ。以前のように京と千兄弟のように飛び出して行って無事である可能性は低い。あの時は実力者である二人がいたから、紅葉達によって少しでも体力を減らせていたから出来た事だ。薙と雛丸よりも花白が強いならば、倒せる可能性はある。だが、双璧のステータスは異常だ。それは()()()()()。花白はそれに気づいているのか、倒れている群青の傷を刺激しないように持ち上げる。神子がようやっと正気に戻ったようで、ハッと息を飲んだ。その時、視界の隅で群青が呻いたのを察した。嗚呼、まだ。神子も立ち上がり、その瞳に光を宿す。それに紅葉達は我知らず微笑んでいた。そして、自慢げに口角を上げた。


「なぁ、聞いてただろ?お主らの狙いは妾達だ。だから」

「命乞い?良いだろう。対して興味もない邪魔者だし」


リンの言葉にイラッと来たのは、友人を馬鹿にされていると瞬時に感じたからだろう。


「……貴方たちにはまだ言わないといけない事がある。だから、生きて!」


神子が背後からそう叫んだ。そして、花白を促してとりあえず逃げようとする。その時、花白の腕の中で群青が血を吐きながら呻いた。そうして叫んだ。


「群青…!?」

「…っ、自分達のせい、とか…謝るんじゃねぇぞ!……ゲホ、()()()()()に…負けたのは『隻眼の双璧(そいつら)』だ!」

「!」


群青のその言葉に紅葉達は驚愕し、それは双璧も同じだった。だが彼らの場合は怒りに震えてもいたが。ミオが憎々しげに花白に向かって跳躍した。青白い群青を抱えているため、武器に手が届かない。と、二人の間へ雛丸が滑り込み、ナイフと短刀を使って弾き返した。ミオは狂気に満ちた虚ろな瞳で雛丸を後方へ後転して退避しながら見下ろした。その隙に薙が行け、と視線と顎で促すと神子達三人ー抱えられているので二人ーは急いで駆けて行った。追いかけて行かないところを見るに、やはり狙いは自分達らしい。


「正当防衛で、通じるよねーこれで!」

「嗚呼。なら、真実を聞かせてもらおうか!」


()()()()()と云うのも気になるし、異変の原因も気になる。嗚呼、けれど。これら全て、()()()()()()事は確かで。

雛丸が愉快そうに笑いながら言うと薙が同意し、吠える。帝から許可と云うか新たな指示は貰っている。「相手が本気で来るのならば、本気で返せ。」つまりは。


「今ここで、仲間と云う事を思い出し、真実を語ってくれるならば…」

「それは、無理な相談だ。全ては、()()……そのためならば!」


再び、と云うのが何を示しているのかはわからない。ただ此処にはいない『勇使』であると考えれば、「また」「再び」は「出会うため」なのだろうか?そう考えれば、辻褄は全て……いや、合わないか。ただただ死亡説が浮上してくるだけで。そこまでは憶測に過ぎないし、知ってるのは双璧だけだ。


「さァ、さっさと殺して力を得てもらわなくちゃア♪」


ミオが狂気に満ちた笑みで大きく跳躍した。その途端、彼らをまばゆいばかりの光が包み込んだ。


…進んだなぁ…そしてそして、また来たよ!(白目)

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