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紅華~紅ノ華、赤ノ上二咲キテ~  作者: Riviy
第六陣 全テノ決着ヲ
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第七十六話 彼女達が知った事実2



その時、二人を見ていたある一人の口から聞き慣れた名前が転げ落ちた。


「ホント、リン様達には感謝しかねぇよなぁ」


リン、その名前に薙と雛丸は耳を疑った。その名前は『隻眼の双璧』の片割れ、男性の方の名前だ。確か、彼の相方ー彼は主君と呼んでいたーの『勇使』から名付けられたと『勇使』経由で聞いた事がある。そして、彼らは「達」と言った。一人以上だ。『隻眼の双璧』の可能性は十二分に高くなった。二人の驚愕と視線でのやり取りに気づくこともなく、男達は続ける。抑えている男達以外が壁際から何かを取り出している。背中が邪魔で見えない。けれど、近くに両開きの扉が見えた。


「ミオ様…ちゃんの方が似合うけど、色んな情報持って来てくれるよなー」

「なー」


ミオ、それも『隻眼の双璧』の少女の名前だった。これではっきりした。あの『隻眼の双璧(二人)』は此処に来ている。そして、薙達を殺そうとしていたことから、捕らえられた二人を先に始末でもしようとしたのだろう。何故彼らが此処にいないのかは、だいたい予想がつく。此処の者達が手を汚している間に紅葉と白桜を殺す。そういう手段かもしれない。確証はないが。


「此処に『隻眼の双璧(あの二人)』が来てるの!?どうやって!?」


薙にだけ聞こえる声で雛丸が言った。それに薙は嗚呼、と頷き、同じように小声で云う。


「此処では…いや、もともと『隻眼の双璧(あの二人)』は此処の担当だったのかもしれねぇな」

「え?」

「さっきの革命軍とやらに片割れ、こちら側にもう片割れ。二組行動で帝への情報を探っていた。異変の原因を探っていた可能性がある。それに、これで分かった。『隻眼の双璧(あいつら)』は、本当に妾達を殺そうとしている」


薙の真剣な言葉に雛丸が息を飲んだ。確かに『勇使』と共に二組行動していたのならば、男達が名前を知っているのも頷ける。出身地は知らないし証拠もないが、恐らく。そう云う思いが強かった。だってこんなにも簡単に手を回せるのだから。本当に何で自分達を狙っているのか教えて欲しいものだ。それに『勇使』の行方も。『勇使(彼ら)』が指示を出しているとは思いたくはない。


「雛丸」

「うん。真相を聞かなきゃね」


二人は小声で相談し合う。その時、二人の目に恐ろしいものが入った。それは血塗れになったペンチだった。ザワッと血の気が引いた。瞬時に床を見れば、薄いが紅いなにかが付着していた。まさか。


「拷問でもする気か…?」

「よく分かったな。さっさと革命軍の情報を吐いてくれれば、痛い思いはせずに済む」


ペンチを持った男がニヤニヤ笑いながら言う。怖がると思っているのだ。だが彼女達の反応は真逆だった。これ以上に危険な状況に出くわしているのだ。怖くともなんともない。キリッと彼らを睨みつけている。それに此処のリーダーらしき男は軽く唸った。そして、顎を振った。途端、ビリッというなにかが破ける音が響いた。それと同時に体に走る微かな痛み。


「…へ…?」


一拍置いて雛丸が自らを見る。彼女を羽交い締めにしていた男が刃物で雛丸の服を切ろうとしたらしい。だが失敗し、脇腹辺りから血が滲むくらいだった。そんなの痛くも痒くない、そう言うように雛丸が鼻で嗤った。


「なに?これで終わりなわけ?ボクたちは、革命軍なんて知らない」


凛とした声で言い放つ雛丸。その表情も凛々しく、薙は友人である彼女を誇らしく思った。嗚呼、だから羨ましく思ったのかもな。雛丸は真実を言っていたが、『隻眼の双璧(彼ら)』を信頼仕切っているーもしくは踊らされているー男達には通じなかったようだ。怖くもない殺気を放ちながら二人を睨みつけている。リーダーらしき男はうむ、と再び軽く唸るとあるものに目が止まった。


「じゃあ、さっさと爪を剥いじゃおうか」

「……爪?」


にっこりと、愉しそうに嗤う男。雛丸の表情が一瞬曇り、固まった。ペンチを持っている時点で可能性はあった。だが雛丸はその可能性を抹消していた。だって、この色は、証は。薙がハッと雛丸を振り返るとそれと同時に腕を掴む力を強められ、呻いた。男がペンチを受け取りながらゆっくり、ゆっくりとまるでいたぶるように雛丸に近づいていく。その事実に彼女の表情はだんだん、色を失っていき、狼狽え、困惑したように声を発する。


「ダメ…ダメ…」

「牡丹色をしたその爪を剥がせば、情報は手に入るのかな?」

「やめろ!そいつに手を出すなっ!」

「うるせぇなー」


薙が必死に抵抗するも虚しく、他の男達に暴行を加えられる。抵抗できないとは思われたくなかったので、足を踏んづけておいた。その間にも男は無理矢理差し出された雛丸の手を愉快そうに眺めていた。さっきまで怖くなかったのに、突然、恐怖が雛丸を支配する。やめて、その色は白桜との証なの。大事な証で、印で、意志なんだ!途端に恐怖が消えた。雛丸は手に力を籠めると勢い良く上へ挙げた。突然の事に男は驚いていたが、彼に当たりはしなかった。けれどそれでも良いと雛丸の手が暴れる。それを敵が慌てて抑え込む。


「ボクたちは革命軍なんて知らない!それに、キミたちに屈するくらい、弱くもない!」

「雛丸よく言った!」

「薙、大丈夫?!」

「嗚呼!」


リーダーらしき男の愉快そうな顔が固まった。そして、グニャリと歪んだ。それがなにを意味しているのか、二人には分かりっこない。けれど、負けない。はぐれてしまった、いや、離ればなれになってしまった紅葉と白桜とまた再会するのを信じているから。彼らを、自分を信じているから。お前達みたいな人質を取らなきゃなにもできないような卑怯者には、負けない!

リーダーらしき男はそうかそうかと云うように二人を見下ろすと、雛丸に向かってペンチを振った。動けない薙が悲鳴に近い声をあげる。雛丸の頬に凄まじい痛みが走る。それでも男を睨み付けると彼は心底煩わしそうに顔を歪めた。


「……その意地、何処まで続くか見物だな」


スッとペンチを持った手首を軽く振った。すると人型をした化け物達が薙と雛丸に向けて動き出した。男は、再びペンチを振りかぶった。


難しい…

雛丸にとって白桜との証であるネイルを取られるのは苦痛なのです…

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