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紅華~紅ノ華、赤ノ上二咲キテ~  作者: Riviy
第六陣 全テノ決着ヲ
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第七十四話 待っていて、すぐに



シロップを飲み、自身の手元を覗き込む。グニャリと視界が一瞬、歪んだ。自分では分からず、白桜を見ると姿がはっきりと見えていた。シロップを飲んでない者には見えない、ということは飲んだ者同士なら見えると云う捉え方で良いのだろう。紅葉は大鎌を握り締め、兄弟達と共に人質救出の任へ行く者達が飛び出して行ったのを見て、慌てたように白桜と共に駆け出した。他の革命軍も飛び出して行き、作戦が始まる。制限時間内に移動を済ませ、次に移らなければならない。組織の本部の街は此処からそんなに遠くはないが十秒くらいは移動で使ってしまう。街に入り、本隊と分かれたところで効果が切れた。途端に全員の姿が露になる。警備をしていた組織側の、銃器を持った人々や化け物が一瞬、突然の登場に呆けた様子だったが、群青が一足先に短刀を抜き放ち、化け物を一刀両断した。それが合図となって、固まっていた敵は一斉に革命軍殲滅のために銃器を乱射し、化け物は襲いかかった。化け物には革命軍についている化け物が飛び出して行き、『ナッシング』vs『ナッシング』対決になっている。兄弟二人は群青の指示の元、古びた大きな建物目指して走る。ちなみに神子は花白を護衛とし、他の者達と本部を襲撃しに行っている。襲撃の情報が全ての建物に行き届き、対策が講じられる前に目的地に着けば、こっちのものだ。と、群青の後を追う彼らを分断するように『ナッシング』が立ち塞がる。近くの建物応援として参上したらしい。だが。


紅葉は大鎌を構えながら、低い態勢で駆けて行くと『ナッシング』が彼に向かって手に持った刃物を振り下ろした。その大きな一撃が地面に食い込むと同時にすれ違うように跳躍し、頭上を通りすぐすぎて行く。そして、後方に着地し、彼らを追った。『ナッシング』が無傷だと思い、後方を振り返ろうとした瞬間、頭が胴体とおさらばした。呆ける『ナッシング(化け物)』の視界に最後に入ったのは革命軍だった。紅葉はただただかわした訳ではなく、目にも止まらぬ速さで『ナッシング』を切り刻んだのだ。紅葉は倒れてしまった『ナッシング』などお構い無しに進んでいく。その様子を横目で見ながら後を追っていた白桜の前に『ナッシング』が立ち塞がる。彼の背後で革命軍の一人が武器を構えていたが、白桜はそれよりも早く二扇を構え、目の前の『ナッシング』の脇を素早く通りすぎる。途端、『ナッシング』は横へ倒れこんでしまった。まさかの事態に背後の人々ー敵全員ーあんぐりである。いや、兄弟二人が強い、と云うのもあったが本音を言えば組織側の『ナッシング』が弱かったのである。それを知りながら、革命軍は突撃した。敵味方関係なしに襲ってくる化け物も味方になった化け物も初期能力ステータスは同じ。その後をどうするかによって、『ナッシング』は変わる。それを聞いた兄弟二人は「今までとは違うタイプの異変(化け物)だな」と関心した、と云うか興味をそそられていた。つまり、革命軍はステータスを上昇させ、仲間と云う概念を植え付けた。例え『ナッシング』が裏切りを働いたとしてもそれらを倒せる実力者はいる。そして組織は傲慢な考えから化け物のレベルアップを後回しにした。それを見越しての、である。


「おい!開かねぇぞ!」

人質()だからか、余計に頑丈だな…」


その数秒後、彼らは人質が捕らえられている建物に辿り着いていた。だが、両開きの扉が押しても引いても動かないらしく、紅葉と白桜が着いた時には既に手こずっている様子だった。


「手っ取り早く、武器(刃物)で…」


群青が短刀両手に言うと仲間がまぁまぁと彼を宥める。


「それで刃物が壊れちゃ意味ないでしょ」

「じゃあ、どうするんだよ!?時間ねぇんだぞ!?誰か使えそうな固有か共通n「群青ー僕達に任せてもらって良い?」」


紅葉が軽く挙手をしながら言うと一斉に二人へ視線が向く。言葉を遮った事に軽く頭を下げておく。今は時間が惜しい。この扉が開くのならばどんな方法でも構わない。群青とこのチームのリーダーであろう人物がやってみろと促す。それに紅葉が飛び出しながら白桜の服の袖を掴む。なんとなく紅葉の発言で分かっていたので白桜は何も言わない。二人の前に現れた扉は端から見れば、なんの変哲もない扉だ。内側から鍵をかけられているのか否や、だが。白桜は紅葉の大鎌に向けて片手の扇を軽く振った。


「〈鉄のように硬い力(アイアンズ・パワー)〉」


キィン、と甲高い音がして、紅葉の持つ大鎌が白銀に光った。そして、得意気に笑いながら大鎌を振りかぶる。誰と言うわけもなく、群青を含む革命軍が一歩、下がる。紅葉が大鎌を固く閉ざされた扉に向かって振り下ろした。一瞬の間のあと、ピキ、と何かが割れる音がし、扉が真っ二つになった。真っ二つになった扉は内側と外側に一つずつ、倒れた。紅葉が嬉しそうに白桜に向かって片手を上げると彼も小さく笑って彼の手に自身の手を重ねた。


「突撃ぃいいいい!!!!」


一瞬の時も惜しいと言わんばかりに群青が叫ぶと全員、開かれた中へと駆けて行った。組織側の人々や化け物が音を聞きつけて集まったり、突然の事に呆けたりしている。襲撃情報はまだ伝達されていない。これは好機だ。


「群青、俺とお前で隊を分ける。お前らは先に突撃しろ!」

「分かった!」


チームリーダーが武器を抜き放ちながら、叫ぶ。我に返った敵を倒すことも忘れずに。群青が数人を使命、そして忘れずに紅葉と白桜の二人も使命した。彼らは目の前に開かれた階段を勢い良く駆け上がった。


「場所!」

「四階建て、最上階にはこの建物内の人質専門本部。三階には人質が捕らえられている模様!」


群青が駆け上がりながら叫ぶとそう答える声があった。それに紅葉と白桜は顔を見合せた。言わなくても分かった。そこに薙と雛丸(彼女達)がいる。今度こそ、絶対。我知らず兄弟二人から殺気と云うか凄まじいオーラが漏れた。群青が軽く苦笑し、返答した人物に向かって顎を振った。それだけで意志疎通が可能なのは何も兄弟達だけではない。


「そっち頼んだ!」

「お任せを!」


ガキン、と武器の刃同士を合わせる。途端、紅葉と白桜、群青を除く彼らのスピードが早まった。最上階へ向かったのだ。タン、と紅葉は階段を蹴るとそのまま壁も蹴り、上へと駆け上がって行く。白桜もつられるように紅葉と同じように壁を蹴る。


「おい!慌てるなよ!?」

「分かってる!」


群青も壁を蹴ってスピードを上げながら叫ぶと紅葉が怒鳴るように答えた。

待ってて、今行くから。彼らの目の前に三階が見えて来た。


今日は二つです。三連休ですね~気温が全国的に高いようです。水分補給ちゃんとしなきゃ…←めんどくさくてたまに抜かす人。水分補給!!

と、云うことで話進みます!

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