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紅華~紅ノ華、赤ノ上二咲キテ~  作者: Riviy
第四陣 カクレンボ
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第四十二話 応じるは、戦闘なり



「っ!キミたちはっ!?」

「?なんじゃ、知っておるのか?」


雛丸が驚愕の声をあげる。その驚愕は雛丸だけでなく、紅葉や薙、白桜も同様だった。侑氷が雛丸に問うと雛丸は白桜を振り返った。その表情は困惑し、混乱し、驚愕していた。それは白桜も同じだった。彼らの様子に大和はなんとなく察した。紅葉達が見つめる二人がこちらを見て、笑った気がした。意地悪げに、不気味に。


「……あの二人は、知り合いじゃねぇ。いや、知り合いっちゃあ知り合いだな。まぁ顔見知りだ…様子が違うけどな」


薙がそう言う。そう、あの二人とは顔見知りだ。『勇使』関係である事は確かである。薙が苦々しげな表情で刀の切っ先を向ける。()()()会った時とは明らかに違う。武器を握る手に力がこもる。君はあの時の君か、それとも別人か。紅葉が軽く深呼吸をして呟く。()()を呟いたら、なにかが真実になりそうで、少し怖かった。


「『隻眼の双璧』…帝の部下である『勇使』の相方の中でも一、二を争う二人だよ。つまり、最強」

「!?なんで知っているかは後回しにしましょう。で、その『隻眼の双璧』が何故?」


京が訊く。そんなの、こっちが聞きたいくらいだ。紅葉がゆっくりと首を振って否定すると京も千も顔を見合わせた。相手はただただこちらを見据えているだけである。


「……相手は『眼』を従えてなにしに来たんだ?」

「なにしに来たって、決まってるジャン♪」

「「「「?!」」」」


大和がそう呟いたのを相手の二人のうち一人が拾い上げ、ニィと口角を上げて笑った。その笑みは以前見た表情でもなければ笑顔でもなかった。そこにいるのは、()()()()()()。その事実が紅葉達の心中を貫く。ナイフのような鋭い視線が彼らを値定め、貫く。


「殺しに来た、ノッ♪」

「?!大和!」


突然、一人が大きく跳躍し、一直線に大和に向かって跳躍する。京が悲鳴じみた声をあげた。侑氷が両手を前にかざすとそこに氷の粒子が纏う。それはまるで紅葉のようだった。氷の粒子が形作っていくのは槍だった。太陽の光に照らされて、氷のように冷たい槍が輝く。侑氷が大和を素早く横へ押し退け、その槍で大きく跳躍し、刃物を振り下ろす一人の一撃を辛うじて防ぐ。侑氷の顔面で刃と刃が交差し、破片が舞う。侑氷がブンッと槍を振り、弾き返すと一人は空中でクルクルと回転しながら元の位置に戻る。立ち上がると一人はニィと嗤った。


「っ!なんのために!?ボクたちなにもしてないでしょ!?」

「そうだよ!『眼』を連れて、どういうつもり!?」


雛丸と紅葉が叫ぶ。一人はムッと怪訝そうに顔を歪める。そして、もう一度跳躍しようと足に力を籠める。ともう一人が一人の行動を片手で制止した。一人は「なんでェ~?」と不思議そうにもう一人を見上げていたが、もう一人は一人を安心させるように笑う。けれど、二人共にその瞳にうつっているのは光では決してなかった。その笑みに恐怖を感じたのか、京が片足を後方に引いた。


「誰かの指示ですか?貴方達の相方が許すとは思えぬ愚行ですね」


白桜が煽るように言い放つ。そう、あの二人は『勇使』の相方の方である。主、相棒がいないのは何故だろう?何故、このような事をしているのだろう?あまり記憶力がないー普通よりはある、が要らない情報はすぐさま消去するー薙でさえ、二人を覚えていたにも関わらず、二人はこちらを一切覚えていないようだった。光さえもうつしていない瞳が余計に恐怖を煽る。


「愚行?とは。()()()()を言っている?」

「!?………紅葉、雛様、薙様。相手は、あのお二人方ではありません」

「嗚呼、理解した」


白桜に薙が頷く。あそこにいるのは、確実に敵だ。相方である相棒や主が情報のために原因の根元へ乗り込み、周囲から悟られぬようにしているのならばまだ分かる。けれど、これは明らかに違った。彼らは自分達に敵意を向けている。そして、()()を楽しんでいる。嗚呼、あの時の彼らは何処へ行った?もう一人がまぁいいやと言いたげに手を伸ばす。その予想が出来ない動きに全員の体に緊張が走る。


「与えられた指示に従うだけで良い。そうすれば、()()…」

「?何言ってんの?」


意味深げなその言葉に紅葉が首を傾げる。薙を怪訝そうに振り返れば、彼女も「知るか」と投げやり状態である。とその時、はぁと大きなため息がした。大和が薙刀を担ぎながら、ニィと笑う。


「なんか分かんないけど、実力試しにはなりそうじゃんか」

「………本当に、なんでも使うのぉ大和は」

「え、あ、ごめんね?なんか…」


雛丸がそれが文句を言っていると感じたようで謝るとその頭を侑氷が優しく撫でた。呆気に取られた様子で彼を見上げれば、侑氷は笑っていた。それに白桜が大和を振り返り、紅葉が千を、薙が京を振り返る。全員が全員、大丈夫だと笑っていた。彼らにとって『眼』の脅威と背中合わせなのは日常。それが少し多く来て、謎も一緒に着いて来ただけの事。恐れる事など、何もないのだ。彼らの思いが、嬉しかった。嬉しくて紅葉や雛丸が不安そうな表情から一変、真剣な表情へと変化する。薙と白桜も真剣な表情で『眼』を引き連れた()を見る。『眼』に人間の精神を操る能力でもあると云うのだろうか?いや、そんなこと報告されていないので多分白だろう。ならば…嗚呼、考えたって仕方がない。可能性はたくさんあるのだ。あとで帝行き(報告)だなと薙は小さく笑った。


「嗚呼、わかんねぇなぁ。なら、直接聞くしかねぇな!」

「それな!で、良いのかな?」


ブンッ、と刀を振り、薙が言う。それに紅葉が笑って言うが自分でもわからなかったらしくコテンと首を傾げた。


「そうだよね!わかんなかったらぶん殴れば「雛様恐らくそれ、違います」ふぇ?」


薙に同意しようとして雛丸が言うと白桜が違うと否定する。多分違う、うん。それに京と千が軽く笑った。大和が言う。


「んじゃ、とっとと片付けるか!」


その言葉が合図だった。紅葉達の()()の知り合いと共に『眼』と、そして紅葉達が大きく跳躍した。


投稿数が溜め込んでいるためにこんなにポンポン行きます。多過ぎて数がヤバい…

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