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紅華~紅ノ華、赤ノ上二咲キテ~  作者: Riviy
第三陣 事件、勃発
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第二十一話 蛇からの情報



青年は良いよ、と云うように蛇のような瞳を細めた。自分達が『勇使』だと言ってしまったようなものだったが、それでもどちらが『勇使』でどちらが相棒や従者かまでは分からないだろう、多分。青年は壁に頭を軽く凭れさせながら言う。その表情は真剣そのものなのだが、頭を凭れる行動がそれを打ち消している。


「今この国では異変である化け物が街を集団で襲うと云う事件が発生してる。化け物は、倒せない事はないがそんな風に知性を持ったような行動は一切なかった。襲撃された街で出た死傷者はこの間、百を超え、損害は大きい。しかも事件の首謀者、化け物を指揮していたのは人間だったと云う目撃情報がある。その多数の目撃情報から容姿がぴったり合い、導きだされた人間がこの国での『勇使』だ。その『勇使』は現在進行形で行方不明」


次々とやって来る情報に紅葉の頭はパンクしそうになる。簡潔に言ってしまえば、化け物を指揮しているのが『勇使』で、その『勇使』が行方不明、と云う事だ。つまり、その行方不明の『勇使』が事件の犯人だと疑われている。吽形が言っていた「隣の国での行方不明者」と云うのはその『勇使』の事なのだろう。此処までは、紅葉達が欲しかった情報も入っている。しかし、本題は此処からなのだろう。


「行方不明の『勇使』探しを手伝って欲しい、ってこと?」

「嗚呼。僕だって『勇使』が犯人だなんて思いたくないからな。事件を起こしてる容疑者は、こちらの予想が当たっていればこの街に次にやって来る。空を飛べるやつもいるから、砦はほとんど効果がない。ならば、闘える手を増やすしかない……『勇使』である君達がいれば、もし犯人が『勇使』であった場合、帝に対応を促せる。誰も『勇使』だなんて知らないがな」


紅葉の問いに青年はそう答えた。此処までで青年は化け物が出現した原因を言わなかった。つまり知らないと云うことだ。いや、知っているかもしれない。が、第一容疑者となっているのが本当に『勇使』ならば、帝に仕える部下のような同胞である以上、止めなければならない。帝の任には「同胞の痕跡を発見せよ」とある。恐らく、音信不通の『勇使』の一人である可能性が高い。それに、その『勇使』が原因についての情報を握っている可能性もある。紅葉が薙を振り返り、聞く。


「薙ちゃん、手伝った方が良いよね?」

「嗚呼、情報を聞いてしまった以上、手助けしなければならねぇし。それに、その事件の首謀者が本当に『勇使』であるかどうか、確かめる必要がある」

「そうですね。それでは交渉成立と致しましょうか…」

「そうだね!」


使命感に燃えたような瞳を交えながら彼らが話す。その様子を見て、青年が眩しそうに目を細める。


「僕、がんばるね!」

「帝の任もあるしな」

「頑張ろっ!」

「無理はなさいませんように」


彼らが意思を確認するように言い合う。そして、青年の方を振り返り、紅葉が片手を差し出した。交渉成立、と云う事だ。青年は蛇のような瞳を紅葉に向け、知ってた、と言わんばかりに彼の手を取った。


「交渉成立だな。君達は僕の故郷の友人で、僕の応援要請を受けて此処まで来たと云うことにする。それでいいか?」

「嗚呼、そちらの都合が良いようにしてもらって構わん」


握手をかわし終わった隣で薙が任せる、と告げる。それに青年はありがたそうに頭を軽く下げた。その後に紅葉達の名前を聞いた。最初にそれに答えたのは薙だったが、一瞬、名前を言おうとして口を閉ざし、カタカナ表記で名前を告げた。紅葉も街の人達が呼び合う名前がカタカナ表記だということに気づいていた。それは雛丸と白桜もだった。此処でいつものように漢字表記での名前を云うのは危険だ、とでも判断してのことだった。青年は此処出身だと思っている。四人の格好は珍しくはないようだが、名前で出身がバレたら元も子もない。と云うことでカタカナ表記で名前を告げた。名前を書かせたら漢字だとバレるだろうが、発音だけでは分からないし。


「僕はスディ。この『シーナリィ』を治める長女、ムーナ・ルナン様の護衛であり部下だ。よろしくな」


そう言って、腕を組んだ状態のまま青年は言った。青年、スディは岩井茶色のショートで少し前髪が長く、瞳は亜麻色。ついでに蛇目。首から左頬にかけて黒い蛇が巻き付くような刺青がされおり、左頬には蛇の口が来ている。服は白のワイシャツで第二ボタンまで開けている。その上に黒のライダースジャケットを羽織り、下は紺の長ズボン。靴は同じく紺のブーツでズボンの下。腰の辺りには銃器をそのままぶら下げている。


ムーナ・ルナンと云うのは、先程まで一緒にいたあの高貴そうなオーラを持った少女だろう。紅葉は彼が元『勇使』と言う事で気になった事を口にする。


「固有能力は良いけどさ、『勇使』だった時の相方は?」


紅葉の問いにスディはクスクスと笑うと腰にぶら下げている銃器を撫でた。それにえっ、と紅葉と雛丸が顔を見合わせる。


「元々、銃器こいつが僕の相棒であり信頼していた部下だったが、『勇使』を引退してこの姿になったんだ」

「………ウソでしょ?」

「どうだろうな?」


雛丸が半信半疑で聞くと彼はクスクスと笑っただけだった。蛇のような瞳と左頬の蛇が雛丸を鋭くこちらを窺っているようで、気がしれない。と云うか、『勇使』の個人情報は知らないのでウソとも言えないかもしれない。


「で、これからなにすれば良いんだ?」

「嗚呼、とりあえずお嬢…ムーナ様に君達を紹介しよう。着いて来てくr」


その時、この路地裏にまで響き渡るほどに大きな悲鳴が響いた。その後に大勢が逃げ惑う音と明らかに違う羽音が大きく響く。その音に緊迫感が漂い、すぐさま紅葉達が武器を取り出す。紅葉に至っては名前の通りの紅葉をまとって大鎌が出現したのでスディは彼の方が『勇使』だと勘違いしたのか、目を軽く見開いていた。


「今のは、恐らくではなく確定ですかね」

「嗚呼、悪いが頼む」


そう言ってスディは腰の銃器は手に路地裏から飛び出した。それに続くように彼らも続く。が、紅葉は一瞬、背後を振り返った。しかしそこは暗闇で。なにか気配がしたと思ったのだが。この頃、集中力がないのかもしれない。首を傾げながら紅葉は彼らを追った。

…書くことがない…

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