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プロローグ

他の投稿作品を長時間更新もせず新しい話(更新不定)を投稿して申し訳ないです。

中々筆が進まず、ガス抜きみたいな感じで書いたので短いし文章変だし(元から)ほんと、申し訳ないです


「…………あれ?」

投入したクレジット分のゲームが終わり、少年がゲームの筐体から降りようとした時だった。

ゲームのアンプからけたたましいアラームが鳴り響き、前面の画面が赤く染まる。


「New Challenger?……乱入?」

赤い画面に黄色い文字で書かれた文字を見て、格ゲーなどで見る乱入演出みたいだなと小さく呟く。


「いや、でもこのゲームに乱入なんて……常時乱入みたいなもんだしな。……もしかして隠れキャラとか?」


今より2年前にゲームセンターで稼働開始したドームスクリーン式戦術対戦ゲーム、『竜撃のエクス=ペリオーン』。

ロボットのコックピットを模したドーム型のゲーム筐体に乗り込み、ロボットを操縦して戦う対戦ゲームだ。

プレイヤーは傭兵となり数十人を超すプレイヤーが入り交じる戦場で戦う事になる。


対戦ゲームとは言うものの、格闘ゲームやシューティングゲーム等とは違い、いわゆるFPSゲームに近いこのゲームでは、オペレーター以外に名前のあるキャラは存在しない。

ストーリーモードも簡単なチュートリアルのようなもので、ゲーム内の世界観やその他設定は殆ど明らかにされず、公式ファンブックでようやく年代表やロボットの設定などが明かされた程度だ。


ストーリーや設定よりゲーム単体の面白さを売りにしているこのゲームで、今まで隠しキャラと言った要素は無く、事実今までこんな現象は見たことがなかった。


「新しいイベントかキャンペーン?……いや公式サイトじゃそんな事書かれてなかったし……あっ」

思案していると赤い画面が晴れ、青空と荒野が画面に写った。

そして、見たことのない人型のロボットが現れた。


近未来SFと言った世界観の『竜撃のエクス=ペリオーン』では、登場するロボットは近代兵器が進化していったような、いわゆるリアルロボットと呼ばれるものしかなかった。(そのくせタイトルに竜とかついてるのだが)


だが画面中央、荒野の真ん中で立っていたのは、80年代から90年代に流行ったファンタジー物に出てくるロボットのような姿をしていた。

騎士の鎧を思わす装甲に、西洋剣のような両刃の大剣。果ては首の付け根と両肩からマントが靡いている。


「…………」

絶句してしまうのも無理はない。いかにゲーム本編で設定の多くが語られていないとは言え、リアル志向な世界観にいきなりファンタジー色の強い異物が放り込まれたのだ。


「!」

が、少年の呆けていた頭がファンタジー系ロボットが剣を構えた瞬間、スチッチを押すように真剣なものに切り替わる。


身の丈程ある大剣を構えたファンタジー系ロボットが凄まじい速度で迫って来たのは、ペダルを踏み込み、後退しながら武器のマシンガンを前面にばら蒔くのと同時だった。




「はぁっ…………はぁっ……っ!!」

そして、わけのわからぬまま戦端が開かれ既に30分が経った。

通常のゲームが一戦15分、1分のインターバルを挟みもう15分である事を考えれば何時ものゲームと大して変わらぬ時間量だ。


だがしかし、この30分は今までに経験をした事が無いほどに精神と体力を磨耗させた。


この30分を一言で言い表すならば、『死闘』と言えよう。

何時もなら一度撃墜されても、ペナルティはあるが何度も復活し戦場へ戻れたが、今回の戦いではペナルティで減るはずの戦力ゲージは無く、またどこか予勘のような言い様の無い不安から、撃墜されまいと普段以上の集中力で戦いに望んだ。


そして更に30分が経つと、疲労はピークに達した。


既に弾薬は尽き果て、緊急用に携行しているレーザーダガーまで使っての激戦は集中力をガリガリと凄まじい勢いで削り、高い集中力からかマラソンを終えた時のような粗い呼吸になっていた。

それでもなお的確な操作で目の前の敵と戦い続ける。


限界の戦いを続けた先の何か見るために。




そして遂に、


「よっ……シャッ!!」

小さくガッツポーズを決め筐体のシートに倒れ込む少年。

額に浮かんだ玉の汗がシートに倒れ込んだ衝撃で頬に流れる。気付けば服も汗でびっしょりだ。

少年は苦笑しつつも身体中をつつむ満足感に脱力した。

筐体の画面には崩れ落ちるファンタジーロボット。

死闘を制し、勝利したのだ。


「はぁっ……はぁっ……つーか、強すぎ……なんだったんだよアイツ……ん?」

息を整え、ようやく余裕が生まれて画面を見ると、


『Good luck』


と、画面にただ一言だけ写っていた。




その瞬間視界が暗転し、刹那、少年は空中に放り投げ出された。





「……えっ」

目の前に広がるのはどこまでも広がる空。耳をビュービューと喧しく掠めるのは風の音。そして身を包むのは風と重力に引かれ落下する感覚。



そう、少年はから墜ちていた。



「どひぇぇぇっっ!?」

声にならない声が空にこだまする。

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