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序章
俺は監獄勤めの首切り役人。
死刑執行人だ。
愛用の斧で毎日一人か二人首をはねる。
盗賊や殺人鬼、お偉方の目の上のコブ。罪深きもの、濡れ衣を着せられたもの。俺の斧は平等に全てを刈り取ってきた。
俺にとって罪人の罪状はどうでもいい事だ。ただ目の前に差し出された首を刈るだけ。シンプルな仕事だ。
どんなやつの首をはねたかなんて、いちいち覚えちゃいられない。
あんたは今までに絞めた鶏の数や顔を全部覚えているのかい?
それと同じことさ。
それでも極たまに、忘れられない首の持ち主が現れたりする。
そんな覚えていても仕方の無い昔話を、この手紙ともに捨てようと思う。聞いているあんたが拾うかどうかは……。
好きにしたらいい。