#00 勇者の旅立ち 町の外(魔法ネコの登場・前)
近いうちにこのお話につながる話を投下します。
期待はずれごめんなさい。
舗装されてない道の両端から延びる深緑の木々が、わたしの見る茜色の空をもうずっと平行して囲んでいた。
景観の変わらない森の中を、かれこれ2時間は歩いている。
勇者パーティの一行はもはや無言で、ただ日が暮れてきているということに共通の焦りを感じていたから、緊張感だけは途切れさせることなく歩いていた。道の終わりはまだ見えない。
最後尾のわたしはというと、緊張感はとっくに麻痺していた。
眠気とお腹すいたで集中力は切れていたし、次の街についたらどうしようかなぁということと、今朝の出来事と故郷の家族でいっぱいいっぱいだった。
だから突然の寒気で意識がピンと張った。
・・・私の背後になにかいる・・・?
思わず後ろを振り返ったけど、何も居なかった。
けど絶対、30㎝もない距離の肩くらいの場所になんか居た気がした・・・。
皆に余計な心配をかけたくないから、泣きそうだけど調査魔法で周囲の様子をうかがった。
私くらいのポンコツ魔法使いでは目視の方が効果あります。
誰もがまっすぐ前方しか見ていないことだけは分かった。ただ6人二列で歩いてるだけ。森は無音。
なにか皆おかしいんじゃないかっていう心配が出てきてしまった。
「…さむいなぁ」
悩んだ末、思わず出た風の声を装ってものそいちっちゃな声を出してみた。
たぶん何でもないはず。
私の右隣、半歩先を歩いていたドリアンは反応してくれた。
「みーぽん、どうしたん?」
ドリアンは暗めのエメラルド色の短髪の好青年風ナイトである。
いつもならキラッと笑顔と八重歯のチラ見する親しみのこもった口調が
私の心を弾ませてくれるなずなのだけれど、今はそうはならなかった。
なれなかった。
ゆっくりこちらと目が合ったその表情は、瞳孔かっぴらいていた。
いや怖いわ。
実質ツッコミより先に攻撃態勢をとっていた。
太ももホルダーから携帯杖を手に構え、躊躇せず額中央に魔法弾を飛ばす。
「…っっっ」
冷汗が流れた。
確かに当たったはずなのに、後ろにのけぞっただけで、またこちらに身体を向けてきた。
ゆっくり。
気が付いたら前を歩いていた4人のパーティメンバーも、私を囲んでいる。
それぞれが目が血走り、口からよだれが垂れたような風貌でわたしの方面を見つめていた。
「「「「「・・・・・・・みーぽん、どうしたん?????」」」」」
まだ道は遠く長く、逃げ場はなかった。
これはどう切り抜けたらいいんだろう・・・。
ご読了、ありがとうございます。
最初は意味が解らず、誠に申し訳なく思います。
ご期待はずれさせてしまいましたら申し訳ありません。
近いうちにこのお話につながる話を投下いたします。
ありがとうございました。