43話 選定戦の断片と、四人で挑む決意
「ちょっと待ってよライネス。選定戦ってまだ始まってもいないのになんで分かるのさ」
ユエルの質問は当然だった。
ライネスも選定戦のことは知ってても、選定戦のような舞台物は性格的にやらなさそうなのだから。
ただその答えはすぐに判明した。
「ああ、伝手ってかお前らに教えてもいいか。ダリオから聞いたのさ」
あたしはミランに視線を向けると、ミランは首を横に振る。
どうやら知らない様子だった。
続けるように言う。
「まあ今回は1~4人のチーム制、ダイスを使ったゲームらしい。あとはなんか投資とも言ってたな」
「投資? あのギルドでお金を賭けるなんて日常茶飯事ですの。それとも他にあるのかしら……他になにか言ってまして?」
「いや、あいつはそれ以上は詳しく話さなかったぞ」
あたしにはさっぱりわかんないや。
ただライネスがさっきダイスと言ってたっけ。
「ダイスと言いえば、ムエルニが選定戦のとき行ったと聞いたのだけど」
「ええ、私の場合はダイスを使ったゲーム【奇数偶数6面ダイス】」
「シックスツーマンセル?」
「使用するのが2つのダイス、それぞれ奇数と偶数面のみの6面ダイスを使いますの。それぞれ攻撃、守備、回復の3種から決めて振る。その数値が自身の攻撃力、防御力、回復数値となる」
「なら仮に奇数が攻撃、偶数が防御にした場合、回復はなしとなるって感じすか?」
「そう。そして出た面数値で敵を攻撃できる。敵からの攻撃を防御するのもできる」
「仮に攻撃は5、防御が10だった場合どうなるんすか?」
「攻撃側が5、防御側が10の場合、攻撃側が5のダメージを受ける。代わりに数値が逆なら防御側が5のダメージを受けるの」
もし攻撃と回復に振ったとしたら、防御は0だから攻撃はそのままダメージとなるわけなんだ。
「HP数値制だから、HPを0にしたら敗退。バトルロワイヤル方式だから、必ず一人になるまで生き残り。それにこのゲームのキモと言うのが、毎ターン必ず攻撃しなくちゃいけない」
「けどそれだと談合されて狙われたら終わりじゃ?」
「そうね談合されることができるならね」
これは含みのある言い方。
ムエルニは口八丁手八丁で、相手を言いくるめて進めたのだろうと言うのが予想できる。
「ムエルニは操作できるから卑怯じゃないっすか……」
「ふん、バレなかったからいいの。戦略的勝利と言ってもらえるかしら……まあ判明してからリーシャ様が収めて下さったのも事実だけど」
バレたときの反感がどれだけあったのか想像に難くない。
それを経て、ムエルニは席に座れたのだから立派だと思う。
「まあ、けどあくまで私のときの選定戦だったし、今回はまた別のが用意される可能性は高いかしら」
「そうだな。なんせあいつは捻くれてるようなギャンブルを用意するかもしれない」
ライネスの言うことにムエルニとミランは同意するように頷いた。
「ま、話はそれだけだ。まあ組むなら頑張れよ」
ベッドから降りると、空になったカップをテーブルに戻して部屋から出て行った。
「ライネスは言ってたけど、この4人でチームを組んで挑もう」
あたしの意見に同意するように皆が団結するように頷いた。
どうなるかはわからない……けど、ユエル、ムエルニ、ミランとそれぞれと一緒に挑めるなんて心強い味方。楽しみ。
「それに……」
それにマヤ姉、あなたが言ってたことを信じたい。
けど口に出せば彼女らとの関係が崩壊するかもしれないと予感する。
皆を信じていないような発言はだめだ。
時期がくればマヤ姉から言ってくれると、今はあたしの中でしまっておこう。
「それにしても……これ、今日寝られるのかなあ……」
ライネスが座っていた部分が凹んでいるのか、少しだけ横に重心が傾く。
安眠の保証はできなさそうだ。




