9話 裏切りの森と、大斧の女
「薬草は木の近くに生えている事が多いのよ」
サムさんは木の下に生えている草を掴むと引っこ抜いた。
緑色というか青緑に近い色。
村の周囲でも取れた見た目の変わらない薬草だ。
「これですね」
手に取った薬草はただの草と似ていて、見分けがつかない。
素人なら間違えて食べてしまうことも。
薬草であるので、食べて良し。すり潰して良し。煮詰めて良し。水で薄めて良し。傷に貼り付けて良し。
効果のほうは保証される一般回復薬。
ただ……生やペースト状で食べると苦く、何度か経験したので間違いない。
「自分も見つけました! これですね、この緑の草ですね! 抜いても薬草とわからないですよ――」
あれは普通の草だ。
ユエルが口に運ぶと、当然吐き出してしまう。
「草にっが!」
「ユエル、それは薬草じゃなくただの草だよ」
「えっ本当ですか! 確かに改めて食べてみたら薬草じゃないような……うぇ不味……」
「あははっ」
この子、本当に面白い。
思わず笑ってしまう。
「それにしてもフェルちゃん、よく知ってるわね」
「村に居た時に薬草関係は来ていた冒険者の方々に教えてもらっていたので。それで覚えたんです」
「村ねぇ……」
サムさんが意味深のように呟く。
そしてなにか考えるような表情をした。
「そういえば、あなたたちは初級冒険者よね?」
「はい、そうですね。サムさんたちと会う前に初めて冒険者になったばかりです」
「自分はフェルよりも早くなりましたが、ちょっと失敗したので似たような似てないような感じです!」
ユエルが元気に答える。
そういえば、あたしが登録している時にユエルは見てなかったな。
いつ頃ユエルは王都に来たんだろ?
「へぇ、ちなみに村から出て何日目なの?」
「あ、えっと昨日来たばかりなので一日目かな?」
「なら知り合いとかもいないわけね」
「確かに今はいないと言えばいない……のかな?」
「今は?」
サムさんの声が少し鋭くなった気がした。
この人達にマヤ姉の事を聞いてみるのもいいかもしれない。
もしかしたら知っているかもと、あたしは淡い期待を持つ。
「あの、えと。マーヤ・ディラントという冒険者の事は知りませんか?」
「んー、知らないわね。その人がどうしたの?」
聞いてみたものの見事にハズレ。
やっぱり、2年も行方不明なんだから知らないよね。
「……いえ、あたしの村からその人が王都へと来たはずなのですが行方不明と聞いたので」
「それは可哀想に。ならあなた来てからは知り合いも居なくて一人きりなの?」
「はい……」
言ってしまった。
なんでこんなことをいっちゃったんだろ……。
「フェル、自分と知り合いになったからもう一人っきりじゃないですよ!」
ユエルが明るく言ってくれる。
そうだ、あたしにはユエルがいるんだ。
落ち込むなんて失礼だよね。
「うん、そうだね。そうだよね。あたしはユエルと知り合ったから、もう一人きりじゃないね」
あ、そういえば他にサリエント様がいたけど、あの人からすればあたしはたまたまいたにすぎない。
言うべきかと悩んでいるが、話は先に進む。
「ふーんそうなの……ちなみにタニアちゃんは?」
「自分もまあフェルと似てますね。ただ探し人はいないですが」
「好都合ね」とサムさんが低く呟いた。
その呟きが耳に入った瞬間、もしかして……とは思ったが。
でも、ユエルの無邪気な笑顔を見ると、自分の考えすぎかもしれないと思い直す。
ただ確認はしなくちゃいけない。
「あの、ロムさんはどこにいるのでしょうか?」
「ロムならそこら辺に魔物がいないかどうか探しているはずよ」
あたし達が薬草採取してる際に魔物を退治してくれてるって事かな?
この人達はやっぱ良い人なんだ。
疑うようなことはダメだよね……。
「そういえばもう少し奥の方にも結構質の良い薬草が生えていたから取りに行きましょうか」
「はい!」
サムさんについて行くと、更に森の奥へと入り込む。
後ろを振り向けば王都は完全に見えない。
左右を見ても木だらけ、森の景色はより一層濃くなり、葉が重なるおかげか太陽の光は微かにしか入らず周囲は薄暗くなってきている。
そのせいか森の印象が恐怖に近い。
「もうこの辺でいいかな」
サムさんが足を止めた。
あたしは周囲を見渡した。
本来こんな日の光が当たらない場所なんて生えないのだけど、あたしの知っている知識が正解とは限らない。
「えと、結構奥にきたようですが。ここら辺に質の良い薬草が?」
「ええ、質の良いのは薬草じゃないの」
サムさんが振り返った。
その顔に笑みはない。
「“獲物”のあなたたちだけどね」
え……?
何を言ってるの?
「ほらあれを見てごらん」
指差す先に視線を向けると、ロムさんがいた。
ただ、ロムさんは1人ではなかった。
森の奥とはいえ、まだ日が差す。複数人の男女と思わしき人物と一緒。
ロムさんの手に袋が渡され、中身を確認するように取り出したのは硬貨。
サムさんはあたしとユエルの腕をギュッと掴み、押し倒すと動けなくした。
「痛っ……何するんですか!」
「最近は警戒が強くなって人身売買もままならなくなっていてね。そこで丁度良いカモが現れたってわけ」
「カモってなんですか、カモって! 自分たちそこまで美味しくないですよ! 食べるならほら、あのとても肉が大きくて」
「うるさい、黙りな!」
黙らせるようにユエルの腕を強く締める。
どうして……。
そういえば受付嬢の人が言っていた初心者狩りって。
視線をサムさんへと向けると、彼女はニヤリと笑う。
「ようやく気付いたわけね。私たちが初心者狩りと呼ばれる者。そしてあの人たちがあなたたちをどこかに売り払う仲介業者ってわけ」
逃げようとするものの、腕も身体もがっちり掴まれ逃げ出せない。
それはユエルも一緒のようだ。
売買人たちが近づく。あたし達は必死に腕を振りほどこうとしても、力ではとても敵わない。
このまま、どこかに売り飛ばされて二度とマヤ姉のもとには行けなくなる。
……嫌だ! 嫌だ嫌だ嫌だ!
誰か助けて!
助けてマヤ姉!
「たくよー。本当に初心者狩りに会うとはな!」
地鳴りが響くような低い声。
次の瞬間、ゴォッ! となるような轟音とともに光が通り過ぎた。
衝撃音が遅れて響く。
「っ!」
風圧で目を閉じる。
なにが起きたのか分からない。ただ、なにかが通ったのがわかる。
ゆっくりと目を開くと、光が差し込んだ。
周囲の草木は無くなり明るくなる。
何が起きたのか理解が追いつかない。
それはサムさん……いえ、サムもユエルも同じ様子だった。
衝撃波の余波のせいだろうか、ロムも他の売買人含め、全員倒れていた。
「話に聞いてたその見た目、もしかしてお前がリーシャの気に入った奴かぁ?」
あたし達、いや視線からしてあたしに近づく一人の女性。
サムは驚きのあまり、あたし達の手を放し後退りする。
解放されたあたしとユエルはゆっくりと立ちあがると、巨漢の女性を見上げた。
まず目に飛び込んできたのは、大人一人分もある両刃の大斧だった。
どう見ても女性一人で持ち上げるのは不可能なはずなのだが軽々と片手で持ち運んでいた。
腕から見ると全身屈強な筋肉質だというのが分かる。
おしゃれ用なのか腕には銀色の腕輪をいくつか付けていた。
そして胸は二つの膨らみがある。間違いなく女性だ!
最後に顔に大きな一本の生傷。
傷のせいもあってか男よりも勇ましさを感じる顔立ち。
「あん? どうしたビビッて」
あたしはビビッていない。
背後でガチガチと歯を鳴らす音が聞こえた。
サムに視線を向けると恐怖顔からか震えあがって歯を鳴らした。
「そ、その顔の傷……もしかして“セブンズミラー”のライネス」
え?
セブンズミラーだって?
今、セブンズミラーって聞こえた。
その前もサリエント様の名を出したし、この人もセブンズミラーの関係者?
そのままライネスさんはこっちにやってくる。
ドスドスとした足音が聞こえてくるようで、間近に来ると巨漢さから圧迫感がうまれた。
「お前がなんつったけ? 確かフェル・ラグンダルト」
「は、はい」
思わず返事をしてしまった。
ライネスさんはあたしの前に立つと襟首をつかみ持ち上げた。
足が地面に着かない……。
一般男性ぐらいありそうな高さで、あたしよりも頭二つ分……いや、それ以上の背の高さだろうか。
「ちいせえな」
「あ、あなたが大きすぎるだけです。確かにあたしは他の同年代と比べたら小さ……れませんが……」
声が小さくなる。
自信のなさの表れなんだろうけどってそんなことを言ってるわけじゃない。
「その人はすごいんですよ! ギャンブルで男をバッタバッタとなぎ倒し。更にはあんたと同じセブンズミラーのリーシャって偉い人に気に入られたすごい人なんです! 自分、その場面をちゃんとこの目で見ていたんですから! あんたなんてすぐに負かす事ができるんですからね! ねっフェル!」
顔が紅潮するのがわかる。
褒められてるのに恥ずかしい気持ちが強い。
とりあえず、あたしはライネスさんに名刺を見せた。
「セブンズミラーの関係者ならサリエント様の所に連れて行って!」
「ふーん」
ライネスさんはまじまじと名刺を見つめる。
「オツムが足りないただの妄言かと思いきや、確かにリーシャの名刺だな。本物だわ」
ライネスさんは手を離すとあたしは地面に座り込んだ。
「まあ連れて行ってやらんこともないが……そうだな」
玩具を見つけた子供のようにニヤリと笑う。
「お前があのギャンブルに勝てたって話が本当なら、試してやるよ。俺様の用意したギャンブルで勝てたら連れて行ってやる。負けたらもう諦めて故郷に帰れ」
「あたしが?」
「元々初心者狩りの奴等には俺様たちの縄張りも兼ねて王国に不利益があったからな。粛清対象にも入ってたが」
「粛清……」
あたしはサムを見ると、サムはガチガチと歯を鳴らし涙目になっている。
あたし達を獲物と見ていたときと違って、今や捕食者に震える小動物のよう。
「リーシャにも行くように言われて、冒険者組合の奴からも駆り出されたから渋々だった。が、まさかこんな光景に出会えるとはな」
「わかったけど一つ追加してもらっていいですか?」
「なんだ?」
「あたしが勝ったら、粛清なんてせずここにいる全員無事……に王国騎士団率いるリベル様の所へ連れて行って」
「リベル? あいつのことも知ってるのかよ……けどそいつらを助けた所でお前にはなんにも得がないぞ?」
「あたしたちを売ろうとしたこの人たちは許せません。この人たちに売られた人たちにもいるはずです。もう二度とこんな事がないように、ここで殺さずに引き渡して騎士団の人たちに任せた方がいいと思うんです」
ライネスさんは顎を触りながら何かを考えている様子。
しばらくすると「聞いてたよりも度胸はあるな」と呟いた。
「いいぜリベルの所へ出してやるよ」
サムはあたしとライネスに詰め寄ってきた。
「ちょ、ちょっと待って。それだと私は……ひぃ!」
ライネスさんに睨まれたサムは大人しく黙った。
鼻息荒くしたライネスさんは準備にかかり始めた。
手に草を持つと斧の上に置き始めた。
「ルール説明入るぜ。ここに三つの草がある。見た目は同じだが、一つは毒草が混じっているかもしれない。一回きりで薬草だと思った物を選んで食べろ」
あたし達が今まで取ってきた薬草と見た目は全く同じ。
毒草が入っているのだとしたら運悪く選んで食べたら死んじゃう。
マヤ姉と二度と会えないのはやだ!
「ただし、質問は三回まで受け付けるが答えに対する質問はなしだ。勿論これらに質問が終わるまで触れるのも禁止。勝利条件はフェルお前と、そこのタニアつったけ? そいつのどちらかが薬草を食べたのみ」
「ならサムが毒草を食べたら?」
「粛清確定だ」
一発勝負というわけね。
サムが毒草を食べたら負け。
あたしかユエルが薬草を食べれば勝ち、ただし毒草を食べるはめになるかもしれない。
慎重にいかないと。
「怖気ついたか? やめてもいいんだぞ」
「ううん、負けません」
「ほう……なら同意って事でいいんだな。じゃあいくぞ――【クァース】」
ライネスが叫ぶと、腕輪の一つが光を放つ。
あのギャンブル場と同じように、あたし達の周囲に魔法陣が現れドーム状のように覆い囲う。
関係者は皆使えると聞いていたけど、実際にこの人もセブンズミラーの一人なんだ。
「さあ3つ質問しな」
「一つ目、この草はどこから採取したものなの?」
「この森からだ」
即答。
当然この質問にはこの返答をするだろうと想定していた。
「ってこんな下らない質問でいいのかよ。残り二つだ」
「二つ目、いつ頃採取したものなの?」
「今さっきだ」
三つの草はどれも色、艶、形とも同じ。
本当にどれかに毒が入っているのかも怪しい。
確かにどれも色合いは悪くない。
まず間違いなく薬草だって、あれ?
どれも……?
「さあ最後の質問だ」
「三つ目……」
ゆっくりと、言葉を紡ぐ。
「勝てば。この人たちはリベル様のもとへ連行していくのよね?」
「はぁ? 最後の質問は本当にそれでいいのか?」
「そ、そうよ」
サムが慌てて言う。
あたし達と違って、自分の命がかかっているのだからそりゃ必死になるよね。
「今の質問は無効にして考えなおしましょう」
「ダメ、これは大切な質問なの」
「よくわからないけど、確かに質問の意図がよくわからないですよ! 二つ目の質問までならまだ自分の頭でもギリギリわかりますよ。フェルならどうにかなると考えてますが、自分も少し不安になりますが……フェルは自信あってこの質問に言ったんですよね?」
全員が全員あたしの質問にわけがわからない顔をしている。
実際あたし自身でも視点を変えれば理解できない質問だっただろう。
しかしあたしは自信をもってこう言った。
「うん!」
ライネスはわけわからんという顔をし、頭をぼりぼり掻く。
膝を叩いた。
「ああ、そうだよ。お前が勝てば連れて行ってやる。これで三つ目の質問は終わった。答えを出せ!」
「良かった。聞けて。そして先に取られなくて良かった」
間違ってなかった。
あたしはおもむろに3つの草を全部取ると口に含んだ。
『なっ!』
予想外の行動に全員、驚きの声を上げる。
苦い……。
目に涙を浮かべながらも無理やり全部頬張り飲み込む。
「お、おい何で全部食べたんだよ!」
「そうよ。そうしたら私の分。いえ粛清が……」
「大……丈夫。粛清なんてされないし、あたしも死なない。勿論ライネスあなたもね」
「どういう……」
手を口に向けて吐き気を抑えるように集中した。
口の中の薬草は胃に入り気分が落ち着くと深呼吸をした。
良い気分。
「落ち着いたようだが、説明しろ。どうして全部食べた」
「ライネスさん。このルールでは、あたしとユエルが薬草を選べば勝ちとなりますよね」
「ああ、そしてそこの女が薬草を食べたら負け。そしてお前かタニアが毒草を選ぶと負けだ」
「そもそも本当に毒草はあったの?」
「……っ!」
ライネスさんの表情が変わった。
「気づいてたのか……」
「うん。だってそうしないとライネスさん、あなたルール違反で死んじゃうんだから」
「え? え?」
サムはどういう事か理解していない様子。
ユエルは「なるほど」と言って手を叩いた。
「クァースって確か絶対順守の魔法ってことは」
ユエルがあたしの代わりに説明してくれるようだ。
「ルール違反者には死が待っている。ルール宣言前に決めた勝敗条件での報酬はあたしが勝てば全員無事……という事を言っているのに、何故かライネスは毒草を持ち出した。その時点でおかしいことになってるってことですね!」
「そう、ユエルのあなたの言った通り」
「確かに言ったさ」
ライネスがユエルの証言を認めた。
「だけど仮に毒草といっても、解除薬も持ち合わせたかもしれんぞ」
「“かもしれない”とあなたはそう言った。このかもしれないはあくまで可能性の範囲内でルール適用外。そして何より全員無事という絶対条件があるから。これがもしクァースを使わなかったらまた違ってたかもしれかったけど」
「憶測だろ!」
ライネスは反論する。
当然この事も予測していた。
「うん、憶測だね。けど憶測でもこうして死なずに済んでいるって事は」
ニッコリ笑う。
「正解だったって事」
サムはまだ理解していない事があるのかあたしに詰め寄った。
「フェル。あなたが薬草三つ全て食べた事の説明は?」
「え? だってあたしが先に全部食べれば、サムが選ぶ余地もなくなるでしょ? サムの選択肢を無くしただけだよ?」
当たり前のことのように言うあたしに対して、サムは口を開け言葉を失う。
「……ぶっ……ブハハハハッハハ!」
ライネスが森に響くほどの大笑いをあげる。
「面白い! 実に面白い女だ! その度胸確かにリーシャが気に入るわけだ」
「本当、フェルはすごい人ですよ! 自分には思いつかなかった事をやってしまうんですから」
ユエルも嬉しそう。
「もう、いいですよね! あたしが勝ったんだから連れて行って」
「ああ、わかった約束は約束だ。連れて行ってやるが、その前に……寝とけ」
ライネスさんはサムを殴り気絶させた。
「別に殺しちゃいねーよ。無事にあいつの所に送ればルール的に問題ない」
屁理屈だなと思いつつも何も起きないのだからその通りなのだろう。
ライネスはサムとロム、そして売買人全員をロープで縛し上げると連れて行く。
「ほれ、王都に着いたぞ」
「ありがとうライネス」
道中、あたし達はライネスに言葉遣いを変えるよう言われた。
ライネス自身、不慣れな事もあってかむずがゆくなるらしい。
「だけどこの人たち大丈夫かな?」
振り返ると、地面をずるずる引きずられる売買人達。
全員が全員あたし達に訴えかけるように涙を浮かべながら懇願していた。
道中起きたものの、身体が縛られているからか、何度も木の幹や石に顔をぶつけられ怪我をしていた。
あまりにも騒ぐものだから途中、ライネスは売買人達を怒鳴りながら振り回して黙らせる。
王都付近になると嬉しさの悲鳴が聞こえた。
「ほれ、王国騎士団様がやってきたぞ」
槍の紋章を付けた複数人の兵士があたし達のもとにやってきた。
兵士を見るやいなや売買人達は嬉しさのあまり、捕まらせてくれと叫ぶ。
「自分、あれだけされると流石に不憫な人たちって思ってしまいました」
「あたしも……」
そんな異常事態に兵士は全員顔がひきつっていた。
「これは一体……」
「あー、こいつら例の初心者狩りの連中だ。リベルはいないのか?」
兵士達を見るもリベル様はいない。
別の仕事をしているのかな?
ライネスは気にする様子もなく、ロープを兵士達に手渡した。
「こいつらやるから、リベルにでも話をつけといてくれ」
「しかし……」
「あん? 俺様を見てまだ文句あるのか?」
ライネスが睨みながら威嚇する。
兵士達は後退りするものの、改めて顔を見るとみな驚きの表情を見せる。
「あ、あなた様はセブンズミラーの。いえご協力感謝いたします」
「たくよーわかりゃいいんだよわかりゃ。これで渡す条件は問題ないだろ。ほれ俺様たちも行くぞ」
あたし達はライネスの後ろをついていく形で歩いて行く。
巨斧、体格、顔の傷もあるせいか目立つ。
街中で歩いていてもどこかしら注目を浴びる形になる。
道行く人々は道を開け、恐れ、畏怖の混じった視線が飛び交う。
ライネスはいつもと言った表情で気にする様子がない。
「ほら着いたぞ」
見上げると三階……いやそれ以上かな?
そう思わせる建物。
「セブンズミラーだ」




