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子爵令嬢と子爵夫人の白い結婚

作者: 秋本くじら

「君を愛することはできない」


 親同士の決めた婚約者と初めて正式に顔合わせをした日のことだ。

「後は若いお二人で」と大人たちが席を立って、二人きりになった直後に私の婚約者様はそうおっしゃった。


「大変申し訳ないが」と頭を下げる婚約者様は本当に申し訳なさそうだった。

 そのせいで私は何も言うことができなかった。




 私──ソフィア・デア・ルーアンの婚約者、セシル・デア・ウェントワース様のご実家は伯爵家だ。

 私の家は子爵家で家格に差はあったけれど、どういうわけか両家には行き来があった。

 ほとんどの場合セシル様が我が家にいらっしゃる形だったけれども。

 そんな身分の違いなんて理解してなかった子供の頃の私は、まさか婚約者だなんて知らなかったセシル様と兄妹のように親しくしていた。偶然とはいえお誕生日が同じというのも親近感を抱かせた。


 伯爵以上の上級貴族と子爵以下の下級貴族とでは取れる格式に差がある。それは邸宅の造作から服飾に至るまで事細かに定められている。

 例えば下級貴族の当主のトップスとして許されるのはウール(羊)まで。上級貴族でなければモヘア(山羊)をお召しになることは許されない。


 でも、どこの国でもそうだけど、爵位と経済力とはイコールでは結ばれない。

 そして、伯爵家の当主たるもの、お金がないからといって高価なモヘアではなく安価なウールを着る、というわけにはいかない。我が家であればシャツはコットンでいいけど、伯爵家以上ではどんなに暑くても余裕がなくてもシルクのものをお召しにならなければならない。ここだけの話、お金がないお家ではシャツに継ぎを当ててお召しになっていらっしゃるそうだ。


 上級貴族の格式を保つためには格上のお召し物、格上の装飾品、格上のお車、格上の門構え、何もかも格上のものを揃えなければならない。もちろんご当主だけでなくその配偶者にも同様のものが求められる。さらに家臣の数やその持ち物に至るまで、気を配るところにきりがない。

 当然支出も莫大で、暮らし向きの実情は下手な上級貴族より経済力に余裕のある下級貴族の方がよほど豊かだ。


 近頃では家格を維持できず、自ら申し出て降爵を受け子爵になる伯爵様というのもいらっしゃる。

 そのように上級と下級の貴族の垣根が曖昧になっている。


 そういう時代だからこそ私たちの縁組も成り立ったのだろう。それも伯爵家のご長男様が子爵家に婿入りするという、例外的な形での。

 前例がまったくないことではないがめったにあることでもない。どういうご縁でそういうお話になったのかはわからないけれど、私たちの結婚は両家の取り決めで子供の頃から決まっていた。

 こういう場合普通なら跡取り娘の私が女子爵となって入り婿を取るのだけれど、さすがに相手は伯爵家の長男様だ。これも特例としてセシル様が将来のルーアン子爵となり私はその夫人となることとなっている。


 正直ほっとしている。自覚しているけど、私は人の上に立ってバリバリやる、というタイプではない。

 一方のセシル様はと言えば、これはもうリーダーシップに溢れていらっしゃる。

 素晴らしいスポーツマンで、伯爵家のご出身ながらそれ以上の身分の方々も集まる上級貴族の男子クラスをグイグイ引っ張って不平がない。

 セシル様が伯爵家の跡取りでないのを誰もが不思議がっていた。


 セシル様の目はいかにも意志が強そうで、その印象のままに真っ直ぐに突き進んでゆかれる。

 背が高く、筋肉質で、明るいブラウンの髪は光が差すと燃えるように輝いて見えた。

 私はこういう顔が好きだ。


 私たちの婚約が発表されたのは入学の前だったので学校中の誰もが知っている。

 おかげで私は友人たちからの羨望と嫉妬とに晒され続けている。

 ……嫉妬するには当たらないのだけれど。私は婚約の日からずっと「君を愛することはできない」と言われ続けていた。


 今時親同士の決めた許婚なんてものは珍しい。

 でも、そうでもなければ私なんかがセシル様と婚約することはなかっただろう。


 だって、私ではどうしたって見劣りする。上級貴族と下級貴族という身分の違いだけではなく、性格や容姿も物足りない。私がセシル様に愛されないのも当然だろう。


 それに私には出生の秘密があった。

 本当のことを言えば、私は父の愛人の産んだ子だ。


 このパルミラ王国では男性優先とはいえ女性にも爵位の相続権がある──本来なら私が女子爵となるはずであったように。つまり女性の権利というものが強い。

 そのため王族ですら側室を持たない。男性であれ女性であれ愛人なんてものはあり得ない話で、仮にいたとしても徹底的に隠される。


 実の母は若くして亡くなってしまった。それは物心つく前のことだったので私は顔も覚えていない。

 私は子爵夫人に育てられた。子供の頃は本当に母親だと思っていたので、私はその頃のままにお母様と呼んでいる。

 お父様とお母様の間にはお子様ができなかったこともあって世間的には私はお母様の子供ということになっている。


 セシル様にそのことを、本当のことを告げないでいるのは心苦しかった。


 お母様はモーリス子爵家から嫁入りされた方だ。背が高くて豊満な肉体の持ち主でいらっしゃって、体つきも度量も何もかもが大きい。勝気な瞳と鋭い眉の印象そのままの男勝りの気性で家内のことは一手に取り仕切っていらっしゃる。お母様はルーアン子爵家の事実上の経営者だ。


 お母様のご実家、モーリス子爵家の嫡男ノエル様はお母様とよく似た赤毛だ。背が高くて体つきがよいところもよく似ている。私はお母様の子供ということになっているので系譜の上では従兄妹に当たる。

 学校では同学年だ。男性と女性はクラスが違うけど、彼は親戚の気安さでよく話しかけてくる。


「君のことを密かに思っている男は多いんだよ。もっとも、あんな素晴らしい婚約者様がいらっしゃったのではとてもかなわないと、みんな涙を呑んで諦めているけどね」

 彼は笑って私のことをからかった。私の家は裕福だから、それを狙ってのことだろう。

「私なんて何の取り柄もないのに。皆様わかりやすいわ」

「そうじゃないよ。男は君のような優しい女性に弱いんだ。ウェントワース様だってきっと同じだと思うよ」


 ところで彼もまた素晴らしいスポーツマンだ。下級貴族のクラスでセシル様に対抗できるのは彼くらいだろう。お母様もだがモーリスの家系は大抵運動が得意らしい。

 私も本当にお母様の血を引いていれば良かったのに。私は何をしても鈍い。


 運動をしているときの彼は輝いているので私は友人たちによく尋ねられる。

「ソフィアさん、モーリス様には婚約者がいらっしゃるの?」

 私の知る限りいないはずだ──ということはいないのだろう。

 そこでそう答えるのだけど、彼女たちは「いらっしゃるの?」の先を言おうとしない。ただキラキラした瞳で私を見つめているだけだ。

 仕方ないので私は気を利かせて彼女たちと従兄妹殿との縁を取り持っている。彼女たちの誰かが私の親戚になるのかもしれない。




 卒業してすぐに結婚式が執り行われた。両家とも裕福でありまたお付き合いの多い家であったから、テーブルの数も燭台の数も数えきれないほどで、式は言葉通りの華燭の典となった。

 そしてつつがなく式も終わった深更に、私たちは二人きりで夫婦の寝室にいた。

 当然のようにベッドは一つしかない。ああ、胸が苦しい。意識が白くなってしまいそうだった。


 しかしセシル様は私を見つめていつもの言葉をおっしゃった。

「ソフィア──」

「は、はい」

「何度も言うように、私は君を愛することはできない」

「……」

「本当に申し訳ない。君は好きにしてくれて構わない」


 ベッドは一つしかない。私たちは同じベッドで隣り合って眠った。

 本当に手を出されなかった。


 庶民の間では「涙は女の武器」なんて言うそうだけど、貴族たるもの人前で涙を見せるなどという軟弱な真似は許されない。

 でも……私は貴族の女としては少し心が弱いのだ。

 だから次の日の朝はずっと前庭の薔薇の茂みの陰に隠れて声を殺して泣いていた。


 ああ、私もお母様のように心が強かったらよかったのに。




 そんな日が十日も続いた。

 セシル様はいずれ子爵となるための準備を整えていらっしゃって、お母様は家内の業務を少しずつお譲りになっている。経営から社交まで覚えることが多くセシル様はお忙しい。

 今はお仕事の合間のご休憩の時間だ。私は前庭の薔薇に囲まれたテーブルにお茶を用意させてセシル様と向かい合っていた。


 私たちの間に言葉はなかった。セシル様は何をお考えなのかずっと沈黙して目を伏せていらっしゃる。

 私は耐えかねて口を開いた。


「──セシル様」

「……何だい?」

 私の口調には少し棘があっただろう。

「いつまでこうしていらっしゃるのですか?」

「仕方のないことなんだ。これは私の問題だ。君は好きにしてくれて構わない」

「他に愛する方でもいらっしゃるの?」

「そういうわけではない」


 カップの中のお茶が涙でにじんだ。

 私の気持ちも知らないで……。


 そうだ、私は子供の頃からずっと恋をしていた。目の前のセシル様に恋焦がれていた。

 実は婚約者なのだと教えられた日には嬉しくて一睡もできなかった。

 それなのに、婚約の日に彼の口から出て来たのは愛のささやきではなく「君を愛することはできない」という冷たい言葉だった。

 あの日は涙で一睡もできなかった。それからというもの私では釣り合わないと、愛されないのも当然だと自分に言い聞かせて……。それでも諦めきれずに、結婚してしまえばいずれは愛されることもあるだろうと、そう期待して……。

 それなのにセシル様はまた私を冷たく突き放される。


 いくら私が弱い女でもあまり馬鹿にしないで欲しい。思わず強い言葉が口をついて出た。


「いっそ愛人でもお作りになってしまわれればよろしいのに!」

「そんな不実なことはできない!」


 セシル様のお言葉は私以上に強い調子で、私は思わず驚いた。


「ずっと言えなかった……だが、言わないままでいることの方がやはり不実だろう。君にだけは教えておこう。私は父の愛人の子なんだ」

「え?」

「私は長男だが嫡男ではなかった。その理由がそれだ。自分が不義の子と知らされてからどれだけ思い悩んだことか……。そんな思いを自分の子にはさせたくない」

 衝撃だった。私は自分の気持ちばかりでセシル様のお悩みにちっとも気づかなかった。


 でも……その話は少しおかしい。私たちの結婚は正式なもので、私たちの間に生まれる子供がそのような思いをすることはないはずだ。

「私たちの子供は不義の子にはなりません」

「不義、とは少し違うね」

「では、どうして私では駄目なのですか?」

「それはね──」


 セシル様はずっと言いかねていらっしゃったようだ。一度言葉に出してしまうと勢いはとどまることがなかった。

 とうとうセシル様は教えてくださった……婚約の日、両家顔合わせの席の前にセシル様が密かに教えられた事実を。


 セシル様は伯爵様がまだご結婚なさる前に他所でお作りになったお子様だということを。

 そしてセシル様の本当のお母様はルーアン子爵夫人──つまり私のお母様だということを!


「──わかるかな、つまり君と私は兄妹なんだ」

「そんな……」

「本当は結婚なんてするべきではなかったが断ることもできなかった。……君は誰か他の男と愛し合うといい。君の子供なら愛せるはずだから」


 さらなる衝撃の事実だった。

 それでは……兄妹では愛することなんてできるはずがない。不義、ではなく人倫にもとる、というものだ。

 同い年だし双子だろうか? それで誕生日が同じである理由もわかった。


 私は父の愛人の子で、セシル様はお母様の愛人の子で……


 ……?


 ……あれ?


 どういうことなの……?


「あ、あの……!」


 私が慌てて自分の出生に関わる事情を説明するとセシル様もわけがわからないというお顔をしていらっしゃった。

「……どういうことだ?」

「……私にもわかりません」

 今聞いたばかりの事実に頭が混乱して話の整理がつかない。


 私たちは説明を求めて両親のところに行った。

「あー、うん、その話ね。うん、ちょっと込み合ってるからまたにしよう。今日は忙しいんだ」

 ところが、私たちの血縁関係について尋ねたところ、父は急に用事を思い出して外出してしまわれた。


「まったく……あの家はいつもそう!」

 一方で、私たちの要領を得ない話をお聞きになったお母様は怒り出してしまわれた。


「そもそも私は真実を伝えておこうとしたのです。それを『両家の恥になるから』などと言って止めたのはあちらでしょうに! 余計な気を回して、言わなくてもいいことはかり吹き込んで……本当にお節介! いいことあなたたち、お節介というのはね、親切心から出るものではなくて、野次馬根性の発露でしかないのですよ! どうせ家令か……いえ、こんなことをおっしゃいそうなのはあなたの叔母上辺りでしょう」

「……!」

 セシル様にはお心当たりがあるようだった。


「まったく、どうせ教えるなら全部教えればいいのに中途半端に……。あなた、貴族なんてものは、ことに上級貴族なんてものはろくなものではございませんのよ? そういう世界から抜け出せた幸運を喜びなさい。──この際ですからやはり全部教えましょう。まずね、わたくしと主人とは白い結婚でしたのよ」

 はあっ?

 思わず叫びそうになって口を押さえた。はしたないわ、私。


「わたくしが若い頃にはまだ親が結婚相手を決めるというのは普通のことでした。それでわたくしたちは結婚したのですけど、主人にはいい方がいらっしゃったのです。それがあなたの本当のお母様、フィーナさん。身分が違ったので結婚はできませんでしたけどね。彼女を裏切ることはできないと、結婚した夜に主人はそう申したのです。彼女はわたくしのような気の強い女とは違ってお優しい人でしたから、そういうところに主人は惹かれたのでしょう」

 な、なんてことだろう……。

 衝撃の連続でなんだかめまいがしてきた。


「主人は『君も好きにしていい』とおっしゃいましたので、これ幸いとわたくし社交界に浮名を流したものですわ。それはもう、盛大に」

 ええっ?

 そ、尊敬するお母様がそんなことを……。

 お母様のように心が強く、と願いはしたけれど……。そういう強さはちょっと違うと思う。

 あまりにもあんまりなお話にとうとうよろめいた私をセシル様がお支えくださった。


「そしてちょうどその頃のお相手が若き日の伯爵様──当時はまだ伯爵様ではいらっしゃいませんでしたけどね。そしてわたくしとフィーナさんは同じ頃に子供を授かったのです。そして生まれたのがあなたたちです。……残念なことに彼女は産後の肥立ちが悪くて亡くなってしまいましたけど。ですから最初はわたくしがあなたたちを一緒に育てていたのです。あなたたちお二人とも私が乳を含ませたこともございますのよ? 伯爵家のご婦人にはこんなことは許されませんでしょう」

 お母様は自慢そうにおっしゃった。


「それでソフィア、世間的にはあなたは私の産んだ子ということに致しました。あなたの本当の出生日は十日遅いのです」

 ああ、お母様がご出産された日に合わせたのね。セシル様と私の誕生日が同じなのはそういうことだった。


「セシルさん、当時伯爵様にはお子様がいらっしゃいませんでしたから、その後あなたは引き取られて行きました。でも、そのまた後でご正室との間に弟君がお生まれになりましたでしょう? 両家の話し合いで、あなたは子爵家に婿入りすることになりましたの。ルーアン家にはこの子一人しか子供がおりませんでしたからね。あなたたちの結婚はほんの子供の頃から決められておりましたのよ」

「あの……私の他に跡取りを作ろうとは思われなかったのですか?」

 恐る恐る伺うとお母様はじろりと私を睨まれた。


「あなた……『愛人が亡くなったから本妻のところに』なんて、そんなことをわたくしが許すとお思い?」

「いえ……」

「ええ、ええ、わたくし主人には指一本たりとも許しておりませんわ。ねえ、わたくし、自分の手で育てた可愛い娘と実の息子が結婚する日を本当に楽しみにしておりましたのよ」

 お母様は少し遠い目をされた。昔を懐かしんでいらっしゃるようだった。


「そう、フィーナさんとわたくしはお友達でしたの。身分が違っても、立場が悪くても。二人して大きなおなかを抱えながら『お互いの子供が同性だったら友達にしましょう、異性だったら結婚させましょう』なんて申しておりましたの。ようやく夢がかないました」


 そしてお母様は再び私たちに視線を戻されて、強い口調でおっしゃった。

「ですからね、あなたたちが兄妹だなんて、そんなことはあり得ません! セシルさん、あなた、ここに来たからにはわたくしが教育し直して差し上げます。まずは今日の教訓です。『物事は当事者の一方の言い分だけで判断しないこと』! ──おわかり?」

「は、はい! 肝に銘じます」

 セシル様は直立不動でお返事なされた。


 ところで、その当事者のもう一人の主役はどこへ行ってしまったのだろう?

「あの、お父様はどちらへお出かけですの? 私、そういうお話でしたらお父様からもお伺いしたかったですわ」

「主人でしたら今も他所に良い方がいらっしゃいますから、そちらにお出かけなのでしょう」

「……」

 要するに都合の悪い過去から目を背けて現在の愛人のところに逃げたのだ。

 我が父ながら何と駄目な人なんだろう……。




 私たちはお母様のもとを退出した。

 ああ……何だか足元がふわふわして心もとない気分だ。お互いしっかりと話し合わなかったせいで起こったひどい誤解だった。

 やはり夫婦の間で隠し事は良くない。これからは何であれセシル様に相談申し上げよう。


 ……ああ、ああ、今更だけど、言われてみればセシル様はお母様の形質をよく引き継いでいらっしゃる。髪も色が違うだけで髪質は同じ、何より目つきがそっくりだ。お顔が好みなのも当然で、私の尊敬するお母様によく似ていらっしゃるからだ。前向きで、強いリーダーシップを持つところもお母様譲り。背の高さも体つきも素晴らしい運動神経もモーリス家の遺伝なのだろう。

 そうだ、どうして気づかなかったんだろう。セシル様とノエル様とは似ているところが多々おありだ。だって、このお二人こそ本当の従兄弟なのだから。


 また元の薔薇の前庭に戻るとセシル様は若干の戸惑いを交えて私をお見つめになった。

「ソフィア……」

「はい」

「私はついさっきまで君のことを妹と思っていたんだ」

「はい……」

「何とかこの状況を受け入れたいと思う。心の整理がつくまでしばらく待ってもらえないだろうか」

「……はい!」




 さて翌朝のことだ。私はいつものようにセシル様と同じベッドで、これは初めてセシル様の胸に抱かれて朝を迎えた。


 男の方の「しばらく」って短いのね。

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