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知らない妻の顔

作者: Rivers

今日、8/21は俺たち夫婦の初めての結婚記念日だ。俺は連休中に出張があっため振替で休みを取ったが、嫁さんは残念ながら仕事は休めず日中は一人なのが少し残念だ。

スマホを確認すると嫁さんから『記念日にご飯作らせて申し訳ないけどご馳走楽しみにしてます!』とメッセージが残っていた。腕によりをかけた料理を用意しよう。


朝食と歯磨きを済ませ、仏壇に手を合わせる。

これは俺の朝のルーティンだ。

ポストの中を確認するため、少々立て付けの悪くなったマイホームの扉に苦戦しながらも外に出ると真っ青な空が広がっていた。今日はいい天気だ。


ポストを除くといつと変わらない郵便物の中に宛名のない封筒が投函されていることに気がついた。何も書かれていないということは会社がらみでもなく私人にのって手で投函されたなにかか……?

空恐ろしさを覚えつつ、封筒を開けてみると中にはUSBメモリが入っている。ネットから切断したパソコンに繋いで中身を確認してみると動画ファイルが1つだけ保存されていた。


更新日時は今年の8/14となっている。ちょうど出張に行っていた日だ…。

開くか開くまいか迷ったが好奇心が勝り、動画を開いてみる。


「いえーい旦那さんみてるー?」

動画が再生されるとチャラ男に抱かれた女が映り、男の声が流れてきた。この男をどこかで見たような気もするが思い出せない。

そして、その男に抱かれているのは間違いなく妻だ。だが、俺が見たことのない妖艶な顔をしている……。

思いがけない出来事に俺は「なんだこれは」「そんなばかな」と繰り返し呟くことしかできなかった。こんなこと、とても信じられない。


昔の映像かと思ったが、映っているデジタル時計の日付と男が持っているスマホが今年発売された新機種だったことから否定された。間違いなく今年に撮られたものらしい。


とりあえず嫁さんが帰ってきたら話をしよう……。

そう考えると俺は準備を始めるのだった。



「ただいまー!」

夜になり嫁さんが帰ってきた。

「おー!!ご馳走だ!ありがとね!!」

料理を前に笑顔になる彼女の顔を見ると話をするのを躊躇ってしまいそうになるが話を切り出す。

「その前に話があるんだ……今日こんなのが届いて……」

そう切り出し、映像に映ってるものから先週撮られたものなのは間違いないことを先に告げて映像を見せる。

彼女はその映像を見ると目を見開き、顔はどんどん青ざめていく。

「うそ……」「なんで……」とうわごとのように繰り返している。

しばらくすると、手は震え始め、ガチガチと歯を慣らし始めた。

「これ……なんなのかな……」

嫁さんが落ち着いたのを見計らって言葉をかけると、彼女はこちらを向いて頭を振った。


「わかるわけない……だってここに映ってるの6年前に亡くなったあなたの幼馴染じゃない!!」


そういって仏壇の方を指さす。

そこにはビデオに映っている人物と同じ顔の遺影があった。

だが、病弱だった妻は行為に耐えられるほど身体も強くなかったし、体力もなかったはずだ……。

そもそも、持病が悪化し結婚して1年ちょっと経った頃に亡くなってしまっている、もうこの世にはいないはずなんだ……。

一人っ子なので姉妹もいないはずだし、なにより自分がその顔を間違えるはずがない。


『今月14日に市内のホテルで遺体で発見された男性の……』

つけっぱなしだったテレビからそんな声が聞こえて二人して目を向けるとそこにはビデオに映っていた男性の顔が映し出されていた。

そうか、このニュースでこの顔を見たんだった……。


「お祓いに行ってお焚き上げをしてもらおうか……」

「そうしましょう……不気味だけど気にしても仕方ないもの……」


どちらからともなく二人で仏壇に手を合わせる。

その時PCから音声が聞こえた気がした。


コレカラハ ズット イッショダヨ

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