公式動画配信全盛期の現在における長期休暇中のアニメ再放送枠への追憶
令和の現在では、ネットを用いて動画鑑賞をする事が当たり前になりましたね。
ところで皆様は、ネットで動画を鑑賞される時にどのような端末をお使いでしょうか。
このエッセイをお読みの皆様におかれましては、パソコンやスマホやタブレットといった通常のネット検索等に用いる端末を動画鑑賞に転用されている方も多い事でしょうね。
私も出先でYouTubeなどを見る際には、普段遣いしているスマホを用いています。
しかし自宅でゆったり寛ぎながら動画鑑賞をする際には、ネットに接続して動画アプリを起動出来るスマートテレビをお使いの方も少なくないかと思います。
或いは、通常の液晶テレビにAmazonのFireTVstickやChromecastのようなストリーミングデバイスを接続されている方もいらっしゃるでしょう。
私もご多分に漏れず、昨年の6月にFireTVstickを買って自分のテレビを擬似スマートテレビに仕立て上げましたよ。
それからというもの、各種の動画配信アプリで公式配信されている映像コンテンツを視聴する機会が随分と増えましたね。
たとえば民放公式配信サービスのTVerというアプリなら全国ネットの有名な民放番組だけではなくてBSや地方局のローカル番組も一週間配信してくれますし、全国各地のケーブルテレビの地域色濃厚な番組を配信しているロコテレも面白いですね。
しかし私としては、やはりABEMA TVやYouTube等で見られるアニメや特撮の公式配信が有り難いですね。
例えばYouTubeの東映特撮YouTube Officialというチャンネルでは、仮面ライダーシリーズやスーパー戦隊シリーズと言った東映特撮ヒーロー番組の公式配信が毎週特定の曜日に行われていて、昔見た懐かしの作品やタイトルだけは知っていたけど未見の作品と出会う事が出来て、実に楽しいのですよ。
吾妻ひでお先生がコミカライズを担当されたポスト・ロボコン的な特撮系日常コメディの「ぐるぐるメダマン」や、異星人に拉致された上に未開の惑星に不時着した三世帯の日本人一家のサバイバル生活を描いた「冒険ファミリーここは惑星0番地」。
そうした非戦闘系70年代東映特撮ドラマと私が出会えたのも、この東映特撮YouTube Officialでの公式配信があってこそ。
そして広告付き無料ストリーミングテレビのABEMATVでは、80年代や90年代に放送された懐かしのアニメが再放送されているのですね。
少年ジャンプの黄金期を支えた「北斗の拳」や「DRAGON BALL」等は定期的に再放送されていますし、藤子A不二雄先生の「忍者ハットリくん」や「怪物くん」、そして「美味しんぼ」といったシンエイ動画の名作アニメも頻繁に再放送されています。
こうした具合にネットの公式配信を見ておりますと、夏休みや冬休みに見ていたローカル局の再放送枠を思い出してしまいますね。
令和の現在に懐かしのアニメや特撮を鑑賞しようとすると、動画配信サイトやサブスクサービスの公式配信以外にもケーブルテレビやDVD等の映像ソフトと色々な手段がありますが、これらの普及していなかった時代はローカル局の再放送が懐かしアニメ鑑賞の生命線でしたね。
今ではあまり見かけませんが、一昔前の夏休みや冬休みの午前中にはアニメや特撮といった子供向けコンテンツの再放送がローカル局では盛んに行われていました。
子供の頃の私は長期休暇のタイミングで行われるアニメや特撮の再放送が大好きだったんです。
その中でも特にお気に入りだったのが、ABCテレビで組まれていた「子供アニメ大会」という再放送枠でした。
この子供アニメ大会ではキー局であるテレビ朝日系のアニメがよくラインナップされていて、たとえば「クレヨンしんちゃん」や「あさりちゃん」といったホームコメディ物や、「GS美神」や「まじかる☆タルるートくん」といった今日のニチアサ枠のアニメ、そして「エスパー魔美」や「怪物くん」といった藤子不二雄先生の作品群などがよく再放送されていました。
そしてこちらは長期休暇関係なしにやっていたのですが、テレビ東京の系列局であるテレビ大阪で月〜金の朝7〜8時台に組まれていた「朝のこども劇場」という再放送枠も忘れられないですね。
こちらでは「キン肉マン」や「北斗の拳」、そして「SLAM DUNK」や「幽☆遊☆白書」といった他局製作のジャンプアニメが再放送される機会も多かったですね。
この「朝のこども劇場」で他局のアニメが再放送される場合、OP映像のラスト数秒の辺りが静止画にされる傾向にあったんですよ。
これは著作権が放送局から制作会社に移ったアニメを番組購入という形で放送する時に起きる事で、OP映像のラスト数秒の辺りでテロップとして表示される「製作・著作」の他局名を隠す必要があったからなんですね。
このラスト数秒の静止画切り替えですが、子供の頃はOP映像で折角テンションが上がっていた所に水を差されるような感じがしてあんまり好きになれなかったのですよ。
しかし大人になった今では、これはこれでローカル局の再放送特有の「味わい」という具合に愛しささえ感じられるようになりましたね。
これと同様の事は、AパートとBパートの間のCMが本放送時とは全く異なるローカル色の強いラインナップになっていたり、午前中に放送されているので画面左上にデジタル時計が表示されていたりといった地方局での再放送あるある全般にも言えそうです。
何しろ今は少子高齢化や権利関係の複雑化といった様々な要因もあり、地上波でのアニメの再放送枠が激減してしまっていますからね。
それに動画配信サイトやサブスクサービスが普及した事も、テレビ地上波のアニメ再放送枠の減少に拍車をかけているのでしょう。
しかし私としては、長期休暇の朝に見るアニメの再放送枠ならではの要素というのも捨て難いと思うのですね。
例えばローカル色の強い地元企業のCMは、引っ越し等で地元を離れた時等には恋しく感じられるのですね。
そして子供の時は煩わしく感じられたOP映像のラスト数秒における静止画への切り替えにしても、今となっては「そういう事もあったなあ…」というノスタルジーです。
あんまり至れり尽くせりで便利だと、かえって味気ない。
適度な煩わしさや至らなさが、後から見ると味わいや愛おしさに繋がってくる。
そう考えてしまうのは、ある意味では私の懐古趣味なのかも知れないですね…