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褪せ続ける

作者: 二久亥 弍糸

読み納めください。

快晴。

暖かい気温。

心地良い湿度。

ふかふかな草原。

そよそよと吹く風。

草原はどこまでも続き、地平線は存在しない。

太陽の真下に一人の子供と一つの屋根がついているバス停。

そしてどこまでも続く一本の道路がある。


子供の名前はユーリ。お菓子と遊ぶことが好きな十一歳。背丈は百十センチぐらいで痩せており、灰色の半ズボンに白Tシャツ、その上に紺のカーディガンを着ている。そしてバス停の椅子で眠っていた。


ここでユーリのいる世界の説明をしよう。

あ、その前に。自己紹介が遅れたね。

僕の名前はクラリス。こういう登場の仕方だと神様とかと予想されることが多いけど違うの。私はこの物語の語り部、説明を担当するよ。まぁ担当するっていっても役割これしかないからちょっと変な表現かもね!はっはっはー!!

ここ笑うとこだよ?

むむむ。そうか。君と僕では笑いのツボが違っちゃうのかな?

えーと…なんだっけ。

…そうだそうだ!ユーリの世界の説明だったね。えーゴホンッ。


ユーリの世界の真ん中にはバス停が存在する。それは夢を見てる人がユーリの世界に迷い込む、入り口でもある。ただし、一般人誰もが入れるという訳じゃない。入れるのは動けなくなるほどの怪我、または病を患ってる人だけが夢でバスに乗っていて、ユーリの世界にやってくる。

ユーリの世界はとても不思議だ。

雲は綿菓子。

雨は飴となり、夜空には必ずオーロラが見える。

また、彼らがユーリの世界に入ってこれるのは太陽がバス停の真上に来たときだ。


バスの音でユーリは目が覚めた。

ドアの開く音、発車の合図、そして戸惑いながらも降りるお客さん。

今回は女の子。

久しぶりの年の近い人でユーリは少し嬉しかった。

「やぁ。こんにちは。僕の名前はユーリ。君の名前は?」

迷い人(お客さん)は自分の名前を答えた。

「私は絢香(あやか)佐根(さね) 絢香(あやか)

「アヤカちゃんだね!」

良い笑顔だよ。ユーリ。


「ここは…どこなの?」

絢香は不安げに問う。

「ここは…どこなんだろうね。僕もよくわからない。けどここは僕でも遊べる良いところさ」

その答えに絢香はまた不安を覚えた

しかしユーリはお構い無しに

「あ、そうだ!ねぇアヤカ。遊ぼうよ!」

「え、でも…私……ごめんなさい私、立てないの」

ユーリは目を丸くし

「え?アヤカちゃん何言ってんの?」

その言葉で絢香も目を丸くした。

「立ってここまで歩いてきたじゃん」

絢香の頬に喜びと驚きの涙が流れる。

「私、私…立って…る」

「ねぇねぇ何で泣いてるの?一緒に遊ぼうよ!」

「うん…!いいよ!」

その後二人は鬼ごっこで遊ぶと決め、二人で遊んだ。鬼ごっこが飽きたらかくれんぼ。かくれんぼが飽きたら、草原の上で二人で日向ぼっこを始めた。


「私ユーリと出会えてよかった!」

「僕も!もっと遊ぼうよ!」

「でもちょっと疲れたよぉ」

二人は横になりながら顔を向かい合わせ一緒になって笑った。


段々と雲が。いや綿菓子が、空を覆い始めた。


すると、いきなり絢香は疲れを忘れたようにすくっと立ち上がった。

「アヤカちゃん、いきなりやる気になったの?!すごいなぁ、次は何する?」

飴が降りだした。

「あ!飴だ!アヤカちゃんも一緒に食べよ!」

降ってきた飴を絢香に渡すと、絢香はいつの間にか来たバスに吸い込まれるように向かった。

「ちょっと待ってよ」

ユーリは絢香の手を掴むがすぐに振りほどけられた。

そしてバスに入っていく。

後を追うようにユーリも入ろうとするが、ちょうどドアは閉まってしまう。

「アヤカちゃん…」

バスは一本の道路を静かに走っていく。

ユーリはバスを追うが当然追い付かない。

仕方なく、元のバス停に戻るが疲れてバス停の椅子で眠りについてしまった。


続きます。

読んでくださりありがとうございました。

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