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誕生

初めて投稿させて戴きます。良い作品を書けるように少しずつでもと思います。




 むかし〜むかし、お爺さんとお婆さんが居りました。

 お爺さんは山へ芝刈りにお婆さんは川へ洗濯へ行きました。

 お婆さんが川で洗濯していると、上流からなにやらどんぶらこ、どんぶらこと大きな桃が流れてきました。あり得ないほど大きな桃に「なんとまあ!」と驚いたお婆さんですが、桃は流れに乗って此方へと流れてきたではありませんか。


 これは何か良いことの前触れかも知れないぞ!そう思ったお婆さんは桃を持って帰ることにしました。



 お婆さんが帰って暫くすると、お爺さんが帰ってました。

「なんじゃこりゃ!!!」あまりの大きさに腰を抜かすお爺さん。


「おや、帰ってきていたんですか」

「この……桃は?」

「川から拾ってきたんですよ」

「ほおーなんとも珍しい事があるもんだ」

「さっそく、食べませんか?」

「そりゃあいいな!」


 お婆さんがよいしょと桃を切ると、桃はズブズブと切れていきます。少し切ったところで何やら手応えが変だとお婆さんは気づきました。


「? 変ですねえ?」

「どうかしたかえ?婆さん」

 お婆さんがお爺さんに説明しようとすると、


 ピカッ!


 桃の切れ目から光が溢れているではなくありませんか。


「おお、一体なにが?」


 始めこそびっくりした二人ですが、何が入っているのか気になってゆっくりと切っていきました。



 パカっ


 突然、綺麗に桃が割れると、中には玉のような赤ん坊が居るではありませんか。


「「赤ん坊だ!」」

 二人はその子に"桃太郎"と名付け、大切に大切に育てました。


 桃太郎もすくすくと健康な良い子に育ちました。


 桃太郎が生まれていく年が経ち、桃太郎も青年となりました。麓の村にもお爺さんたちの代わりに行くようになり、二人も大助かりです。




 そんなある日。


 麓の村に降りた桃太郎。背中に売り物を背負って歩いていると、やけに村が静かです。


「変だなあ? おーい、誰かいないのかー!」

 村の入り口で叫んでも返事はやまびこだけ。


 鼻の曲がるような臭いがふわり。


「おーい! おーい! オエッ」



 あまりの匂いに吐きそうになる桃太郎。

おかしいぞと確信した桃太郎は売り物を近くに隠して、持っている護身用の、といっても簡単な棍棒を持ってそろり、そろりと歩き出しました。


 むせ返る臭いと不気味さに早く帰りたいと思いながらも近くの家に入りました。


「おええええええっ、おげぇっ、おえっ」


ぐちゃぐちゃの死体。


桃太郎は生まれて初めてこんなにもゲロを吐き出した。


「な、なんなんだ……こ、れ」

目の前の恐ろしさから身体がぶるぶると震えている。


「はや、く、出なきゃ」

 逃げるように目の前の家から出ると、ほかの家も同じなのではないか、そう思って、恐る恐る覗くと大体同じだった。


「お上に、言わなければ」

 皆の死体をそのまましておくわけにいかないし、何より解決してもらわねば危険と思い、近くの村へと走り出す。


 言いようもない焦りが心の中を蠢いていた。



____________



 桃太郎の快足をもってすれば、近くの村へと数十分ほどで着く。


 そろそろ鐘の鳴る頃だと思っていた桃太郎。心の不安がざわつくも急いで向かおうとすると


「ぎゃあああああ!!! 痛い痛い痛い!助け、グエッ、誰かあ!!!」


『ふはははっ、あはははは!!』


 骨を砕くような音と、絶叫。


 意味不明なことに笑い声まで聞こえる、明確な危険を察知した桃太郎は、叫んでいる人に申し訳ないと思いながらも、自分にはどうしようもないので、逃げようとする。


 背を向けた音を立てないように逃げようとする。


『おい、なに逃げようとしているだ?』


 鬼。そう表現するしか無い。ツノが生え、怪力で人間を喰らう。物語にしかいない、まさしく鬼がいた。



 「〜〜〜!!!」無我夢中で逃げた。ひたすらに逃げた。けれどもあいつは面白げに「おらと遊ぼおったてのか! いい! やろう!」


 足の速い桃太郎だが、少し遅いくらいのスピードであいつも追いかけてくる。


「食らえ!」

 積んである桶を崩し、投げる。


「いでで、いてえよ〜!」

 言葉と裏腹に平気そうな顔をしている。こんな相手に棍棒なんかでは勝てっこない。



 機転をきかせて、転ばしたり、屋根に飛び乗った後、あいつに脆そうな部分を踏ませて落としたりしたが、それでもあいつは追ってくる。




「いい加減しろ、よ……」

 かなり長く走ったのでヘトヘトになっているが、それはあいつも同じ事だ。

「はあ、はあ、はあ、もーめんど、大人しく食われやがれっ!!」


 ばっ!と飛びかかってきたが一瞬反応が遅れる。


 もうダメだ、すまない、お爺さん、お婆さん。


 走馬灯が揺らめく。だが、桃太郎の悪運は尽きていない。


 上から何かが降ってきた。降ってきた何かは飛びかかってきたあいつを上から踏みつけると、ズズズとずり込んだが、動きが止まった。


 何かはあいつと同じようにツノが生えていて、太り気味なあいつと比べるとその身体は引き締まった力士のようである。


「お前はいつも勝手に動いて、余計なことをする」


「いやあ、すまねえ乱兄ぃ、うまそうなのがいたもんでよ、ついつい」


「いいから帰るぞ」

「おう!わかったよ、兄貴」


 なんなんだ、一体、呆然としている俺を無視して目の前の乱兄ぃとかいう奴が右手を上げると、もやが吹き出した。

 もくもくと二人を覆い、晴れた後にはもうかけらもいなかった。




「うわああああああああああああああ!!!!」

安堵と意味不明さと押し寄せる恐怖でひたすらに声が枯れるまで叫んた。


 叫び、ようやく気が落ち着いたら目の前から人が来た。


人がいると走っていくと「な、なあ、岡っ引きでも同心でもなんでもいいから、呼んできてくれ、人が大勢死んでるんだよ!」


「ああ? なにいってんだお前?」

 訝しむも、俺の必死さが伝わったようで呼んでくるために場所を教えてもらって韋駄天のように走った。



 なんだかんだで連れてきた。乗り気では無いようだが、村の死体を見るや否や血相を変えて、「! 応援を呼ぼう 」


 大々的に捜査が始まり、俺も話を聞かれ、変な二人のツノが生えたやつがいたというと老齢の同心は何やら気付いたようで「これは、鬼かもしらんな」


 ボソリと呟いたのを俺は見逃さなかった。


「なあ、あいつら一体なんだ! 人を食って、バケモンみてえで、なんたよ! 」吐き捨てるように言うと


 彼は「うちの爺様がその爺様から聞いた話だが」といって語り始めた。


「うちの近くには昔から鬼が住んどって、たまに人を喰いに降りてくるなんて話が昔からあったんだと。

 その村のみんなはその山に決して登ろうとはしなかったそうだが、大爺様はまだ若く活気盛んで、荒くれ者とつるむなかなかの乱暴者だったそうだ。博打の席でその山に登ろう、なんて馬鹿げた度胸試しがあって、大爺様は俺が登ってやろうと何人か仲間を引き連れて登ったそうな。てっぺんまで上って、「なんだ、なんも無いじゃ無いか」と仲間内でげらげらと村の連中や登らなかった奴を笑って、山を降りていると

隣でバキョリと何かがちぎれた音が鳴ったそうだ。

 

「おいどうした」と最後まで言えずに必死で逃げたそうだ。『何故?』と若い爺様が大爺様に聞いたら

ぶるぶると震えだして、より老け込んだ様子になったんだとか。それでも続きをなんとか捻り出した大爺様は『鬼じゃ……奴が仲間の首をちぎって嬉しそうに笑いながら横で食ったんじゃ……』

言葉を捻り出した大爺様は枯れ木のようだったという。

 恐らく、聞いた特徴からいって、鬼だろう。都の武士だか昔は討伐したと言うが、今はどうなのだろう、わからないが、ワシら凡人は黙って見ておるしか無い。」


 そう締め括った同心は「さっさとお前も家に帰れ」

と現場から追い払った。






 煮え切らない気持ちで家に帰ると血の匂い。


「爺さん、婆さん!」

 庭に1本の刀が突き刺さっていて、二人は血だらけのまま横たわっており、婆さんは既に息はなく、爺さんが虫の息だった。


「どうして……こんな……」

 二人が助かるのは絶望的と嫌でも分かってしまう。

「桃太郎、大事な話が……ある」

「今すぐに刀と……家の中にある団子を持って逃げなさい」

「そんな、どうして」

「鬼にやられてしまったんだ……どうしようもない、仕方のないと分かっているが……お前だけでも、逃げて、生きてくれ……」

「そんな、やだ、やだよ」

 認めたくなくて、受け入れたくなくて、駄々を捏ねていると


「おや、さっきの!」


 馬鹿みたいに能天気な声と太った身体。


「お前、こいつらの家族だったのか〜なら死んでもらわんとこまるが〜」


 何を言っているんだ、この害獣は


「ようやくしわくちゃになったから殺せそうだったのに、余計なことするからなあ〜こいつらほんとーにきらい、きらい!」

「でも、もう死ぬから嬉しいーー!!!」


「おい、その足をどけろ」

自分でもゾッとするほどに低い声が出る。

「いやーだーよーー、首がうずうずするしいーーー!」

「どけろって言ってるだろうが!!」

 拳を握り、相手の胴体を殴り付ける。

「いやーだyガバァッ」

 あの害獣を文字通りぶっ飛ばした。


 地面から刀を抜き、軽く振ってみるが、意外と振れる。

「いやー、お前、強いな〜」

ニコニコと腹の立つ顔。

「死ね」

 地面を強く蹴り、袈裟斬りにすると、ざくりと腕と片方のツノが切れた。


「ぎゃあああああ、ツノがあ、ツノがあああぁぁ」


 ビチビチ動く気持ち悪い腕よりも突然の怒りの空気に警戒する。

「よくも、よくもよくもよくもオレのツノをォォォ!!!!」

 髪の毛が荒ぶり、目が血走って、さっきのおちゃらけた様子がかけらもない。

「ようやくあのクソから斬られたツノが治ったのにいいいいィィィィィィィ!!!」

爺さんの方をみて憎々しい表情だが俺への感情はそれ以上の様だ。

「殺す、お前は確実に殺す」

 敵の大ぶりな殴打。


 瞬時に躱すが、あんなものが当たって仕舞えばひとたまりもない。

「ちょこまかと逃げおってぇぇぇ」連打や蹴りを交えてくるが、

「グホッ、ゲボッ」


 流石に早く、一発食らってしまう。胸の近くの骨が折れている様でじんじん痛い。血も吐き出したが、この身に燻る怒りは収まらない。



 だが、怒りで勝てるほどあいつは弱くない。さらにもう時間が無い。まだ余力を残しているあいつと違い、怪我で体力を失っていく俺。もう、隙を突くしかない。

 桃太郎にはカウンターを狙うしかないのだ。


 あいつがこちらに突っ込んでくると、地面から出た石に"思わず"躓いてしまう。


「馬鹿めッ!」

 見逃すはずもなく倒そうと突っ込んでる。


「馬鹿はお前だ」

 瞬時に体勢を整えた俺はカウンターで、首に刀を突き刺す。


「は!その程度、なんて事は」


 落ちた生首。

「「え?」」


 俺とあいつの声が重なった。

「くそ、なんで、こんな、にんげんに、いやだ、たすけて」


「いや、いやだ、しにたくない、き」


 何かを言おうとしてあいつは停止した。





「爺さん……婆さん……」さっきまで殺したいと思っていた鬼を殺しても、ただ胸にポッカリも穴が空いたみたいでー









この小説を書くきっかけは小学校とかの劇で何人も桃太郎みたいな主役をやっているというとこからです。

 まだ今話は進んでいないけれど、次からまあまあ急展開で話も進むと思います。

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