74 ※良い子はマネしてはいけません。
………はぁ。
時刻はただ今十二時半。昼休みの真っ只中です。現在、歴史資料室にいます。なぜこんな実況をしてみたかというと。
………閉じ込められたからですねぇ。はぁ………頭が痛い。
ちょっと聖女のことを調べるつもりでふらっと立ち寄ったら、そのまま鍵がガチャン。後ろ姿は確かにウチのクラスの子だった。まぁ、事故だね、うん。
やれやれ……今状況での鍵も持たずにノコノコ密室へ入った私もマヌケだったけどさー。そもそも、有益な資料も見つからないしさー。踏んだり蹴ったりだよ。
そもそも何故この学校は外側に鍵が付いてるんだ。普通、内側に付けるべきじゃないか? よし、今度職員会議で進言してみよう。
さて、うだうだ考えている場合じゃない。というのも、午後には授業がある。しかも具合の悪いことに、今回の授業は新任したばかりの私の授業を見に、沢山の先生方が見に来る授業だ。これはサボれない。
全く私はツキがない。ああ、向こうは分かってやってるんだろうけど。
そんなわけで直ちにこの部屋を出なければならない。幸いにしてお昼はもう食べたから三十分くらいは猶予があるけど。
ドアは二つあるが、当然開かない。
廊下は人通りが少ないから、昼休み誰も通らない可能性もあるくらいだ。
窓は開くが、ここは二階。私が無傷で飛び降りられるかは微妙。授業ができなくなるなら意味がないので最終手段として取っておこう。
ちなみに窓の向こうは林。これまた人通りは皆無だろう。
うーん、詰んだか? いやでも、何か一つくらい手はあるのでは……。
窓から紙飛行機でも飛ばしてみる?大声を上げる?床に穴を開けてみるとか。それか、一か八かで飛び降りる?
……いやいや、落ち着け。下手を打てば向こうの思う壺だ。
よし、決めた。
ここはとりあえずじっくり待ってみよう。それで駄目なら、三十分後に飛び降りよう。大丈夫、死にはしないさ。
さ、じゃあ三十分は暇だから、歴史書でも読んでるか。