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72 いーけないんだーいけないんだー


事の起こりは、あの王様と話した次の日、ごく普通に学校に来てからだった。

まぁ起こりといっても、思い当たる節はないのだが。ただ、態度の変わった前後を考えるに、やはり契機はこの日だったのだと思う。


校長先生、職員の先生方に挨拶を済ませ、学校ホールで関係する生徒たちに自己紹介もした。

ちなみにこの国は自国とは違い人不足ではないらしく、私は普通に担当教科である歴史だけを教えることになった。



教室では私が生徒とほぼ同い年ということも手伝ったのか、かなり人に囲まれた。そう、この時は確かに嫌われてはいなかった。


『先生、いくつですか?』


『先生、婚約者いますか?』


『先生、先生の国はどんなところですか?』


等々、まぁ学生らしい質問が飛び交った。私も何となく気を良くして、それなりに愛想良く答えていた。


年はもうすぐ十八で、幼馴染みの婚約者がいること。平和な東の国の事などを話した。その時も、とくに誰かの機嫌を損ねた覚えはない。



その後……そう、食堂に行ったんだっけ。とくに共に食事をする人もいないので黙々と食べていたら、レミと名乗る女の子が声をかけてきたのだ。


『隣良いですか?』


その子はいつもニコニコしていて、誰からも好かれそうなかわいい子だった。それで何となく誰かを思い出したような気がする。


彼女は学校のことを教えてくれた。私の話も聞いてくれたので、何となく家族や向こうの学校のこと、あとは殿下のことまで話してしまった。今思うと、若干調子に乗って話しすぎたけど、嫌な顔一つせず聞いてくれた。



ああ、優しい人や、人懐っこい生徒たちがいて、北の国は良いところだなぁ。これなら上手くやっていけそうだなー、と思ったその翌日に、例の事が始まったのだ。


ね、心当たりはないでしょう。


はぁ全く、いじめはいけないんですよ。例えそれが、生徒から先生へのものだったとしてもね。私だって人間なんだから。

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