71 はいじゃあ、どうなる?
さて、お忘れかもしれないが私はこの北の国のアモルサラン学園に、教師として転勤してきたのだ。
恐らくこれが主題ではないと思われるが、転勤してきた以上は働かねばならない。そんなわけで私は、アモルサラン学園にいる。が。
ドンッ
「あら、失礼致しました先生」
「いやだ、先生の扇子を落としてしまいましたわ。代わりに、わたくしのものをお持ちくださいませ」
訳:お前は人のお古でも使ってろ。
んん? 穿った見方だって?
まぁ確かにそう思うのも無理もない。何せ、言葉だけはこんなに丁寧だし。
でもね、その顔! 全然申し訳ないなんて思ってないだろう!
そして! 私は扇子はちゃんとしまってたんだけど! ちょっとぶつかっただけで落ちたなんておかしいし! そもそも君、踏んづけてるじゃないか!
ちなみに扇子は表情を隠す、いわば貴族の刀だ。その質で、貴族としての格を争ったりもする女の武器。私のような階級では、人のお古を使うなんてもっての他。
はいじゃあ、これを総括するとどうなる? まぁもう答えは出てるけどね。
結論→私は何故か他国で貴族令嬢の生徒にいびられている。
………んー、どうしてこうなった。