07 よろしくね。
「お前の父さんも話長いけど、俺の親父も話長いよな?
なんで大人って無駄に話長いんだろうな?」
庭について、お父様たちに私たちが見えない位置に来ると、殿下は言い放った。
「えーっと…」
「お前もよく長く話聞いてられるよな。俺、親父たちが話してる間ずっと親父の頭見てたんだぜ?あれ絶対ヅラだよな?昔から疑っていたんだけど、聞いても答えてくれないんだ」
「ふふっ。」
おっと。うっかり笑ってしまった。
見た目は麗しの王子様でも、やっぱり男の子は男の子だな。
「私は国王様のマントを見てました。あれって、まるでカーテンみたいに長いですね。」
「ああっ、わかる! あれ、絶対いらないよな!」
見つめ合って、二人で同時に吹き出した。
「不敬罪ですね、私たち。」
「俺はただの親の悪口だから、大丈夫」
「ずるいですよ。だいたい国王様はまだお若いはずなので、カツラではないと思います。」
「いや、甘いな。国王ってのは相当ストレスたまるらしいから、わからないぞ。あーあ、俺もああなるのかなぁ。」
「大丈夫ですよ。何年も先の話です」
「いや、何年て言うのは、意外と早く過ぎるぞ」
私たちはまた声を上げて笑った。
「お前、面白いやつだな。大抵の令嬢は、こういう話をすると即座に咎めるぞ」
「まあ、私を試したんですか?私もかしこまった話よりこういう笑える話のほうが好きです」
「お前も、貴族らしくないな。」
「この国最高位の令嬢と王子ですけどね。」
何度も下らない話をした後、ふと王子殿下が真面目な顔をした。
「上手く気が合わなかったら仮面夫婦になる覚悟もあったが、気が合ってよかった。」
「私も、これならやっていけそうです。まあ、夫婦というよりは悪友、ですけどね。」
「そうだな。これからよろしく、悪友」
「ええ、こちらこそ。」