57 仕事。
「………よくもまぁ、舌の根も乾かぬうちにのこのこやって来ましたねぇ。怒られる準備はよろしいですか?」
「………まて。俺は怒られるためにやって来たわけじゃない」
「ほう。では、なにをしに来たのですか? ユウの件ですか、それとも告白の件ですか? ………どちらにしろ私は、あなたに怒ることだらけですね、殿下」
私は冷たい目を彼に向ける。
不敬だが問題ない、彼は十分にそれだけのことをしたのだから。
しかも、あの騒動を起こして僅か2日でわざわざやって来たのだ。
「そもそも、私はあなたを止めるように父に頼んだのですが」
「ああ、それとなく注意されたさ。『娘に余計な手を出すな』とな」
「何故守らないのです」
「俺は手を出しに来たわけじゃないし、ここへは仕事の話をしに来たんだ。きちんと守っているだろう」
「………はぁ」
そう言えばこの方、屁理屈も十八番だった。
というか、仕事の話とは。学校のことか?
「で、ユウラムだが」
「仕事の話ではないですね」
「いいや、俺からすれば仕事なんだ。……あいつは、そのまま公爵家の養子にしてほしい」
「……まぁ妥当ですね。私としても、放り出すような真似はしたくありませんし」
「そうだ。そしてあいつが正式な養子に決まることで、………どうなることかわかるな?」
「…………私が王家に嫁ぐ用意が、いよいよ整うというわけですね」
「そうだ。今までは一時的に避難しているような形だったがな」
結局、収まるところに収まるというわけか。
………彼女も。
「……わかりました。わざわざご足労いただき、その上丁寧なご説明、誠にありがとうございました」
「………なんだ。まだ何か、不満な点が?」
「いいえ? 大丈夫ですよ。これからはその調子で、隠し事はよしてくださいね。………私たちは、ビジネスパートナーなんですから」
「……? ああ」




