47 たまったもんじゃない。
……ご無沙汰です。適当人間、Airukaでございます。
言い訳を活動報告にたっぷり書いときます。
取り敢えず一言。申し訳ありませんでした!
「……自分でも、呆れているのですよ」
長い沈黙のあと、ビリジアン伯爵は語りだした。
やけくそな雰囲気でも、信用ならない空気でもなく、ただ、潔く全てを悟ったような、冷静で……温かみのある声だった。
「噂を流しても、何も変わらない。自分の首を締めるだけだ。そう思って、踏み留まっていました。ユウが、生まれる頃まではね」
言葉に吊られて、私は悟られないようそうっとユウを横目で見る。
けれど、ユウの無表情からは何の感情も読めなかった。
「政略でできた嫁と息子も、悪くはないと分かってました。けれど、どうしようもなく苛つくのです。理由もなく」
「だから。滅茶苦茶なことをやって、自分で自分を見放して……全員に憎まれて死にたかった」
「家族を害したのは、二人を誰の目にもわかる被害者にするためでしょうかね。公爵がユウを引き取ってくれたのは、幸運でした」
見事な破滅願望だ。巻き込まれる私たちは、たまったもんじゃない。そう思ったときだった。
連行されようとしていたビリジアン伯爵は、思い出したように言った。
「最後に皆さん人生の後輩方に断罪されたのは、光栄ですよ。今にあなた方は、教科書に載るようなことをしでかすでしょうからね」
教科書に残ること。私はそんなこと、たくさんやってる。
でも、伯爵に言葉が、何故か心に反響した。
それに、”しでかす”とはどういうことだ。
「敗れた醜い人間として、言えることはそれくらいです。……皆様は、私のようにはなっては駄目ですよ?」
ビリジアン伯爵は、子供のように無邪気な顔をしていた。
……人間は、やっぱり、根は善人だ。ただ、環境によって驚くほど腐る。
そんな、昔に信じてた拙い持論を思い出した。