閑話 どうなるんだろう。
ユウラム視点
「…とにかく、この場は貴女にとって分不相応ですよ」
「なッ何を!」
僕は事実を述べたまでだ。
庶民である彼女が王宮に入り込むのは良くない。
「殿下と恋仲になりたいのなら、きちんと段階を踏んでください」
僕がそう言うと、彼女は少し驚いた様子を見せた。
「…どうしました?」
「意外だわ。あんた、庶民が王妃になることを狙うのは許容するのね」
ああ、なるほど。
「推奨はしませんが、否定もしません。僕にとっては所詮他人事ですから」
「……そう」
「まあ、貴女が姉上を押し退けるのは無理だと思いますが」
「だから、失礼よ!」
僕が融通の効かない性格をしていることは理解している。
だが、僕はあくまで正論を告げているだけであって、実際にどうなろうが本当はどうでも良いのだ。
「僕は正直に事実を述べたまでです。では、もう時間なので、失礼します」
僕はそう言って彼女に背を向けた。
彼女が何か言っているのが聞こえるが、無視して足を進める。
やはり、彼女とは意見が合わない。
それは、恐らく僕も彼女も正直にものを言っているからだと思う。
彼女もまた、対極にいるようで僕たちに近いのかもしれない。
それにしても、王妃か…。
夢の大きいことだ。
もしあの人が本気で王妃を狙いに来たら、どうなるんだろう。
姉上は、王妃の座に興味は無さそうな気がする。
ただ、やれと言われたからやっている、みたいな。
問題は、王子殿下だろう。
王家もゴタゴタしているようだし…。
僕は思いを巡らせながら、姉上と待ち合わせる馬車の方へ歩いた。




