41 いかがいたしましたか?
私は今、王宮に来ている。
例の、お茶会だ。
私は殿下と他愛のない話や、調べたことについての情報交換をしていた。
ところが、帰る時間が近付いて来た頃。
殿下が、ふと思い出したように口を開いた。
「…なあ。小耳に挟んだんだが、近頃あの養子と仲が良いと言うのは、本当か?」
「養子? ああ、ユウですか? 確かに、そうですね。」
私が殿下の質問に答えると、場の雰囲気が変わった。
…何か、気温が下がったような気がする。
「…ふん。成る程な。」
「あの、いかがいたしましたか、殿下?」
「…殿下、か」
私が聞き返しても、殿下は何か呟いただけで答えてくれなかった。
気のせいだろうか?
殿下は、酷く傷付いたような顔をしているような…。
「あの、私は何か気にさわることを言いましたか?」
「……お前はーーーーーー?」
殿下の口は、確かに何かを言い掛けていた。
だが、それが音になる前に唇が閉じられた為、私からは何を言っているのか、分からなかった。
「…何でもない。 もう、遅い。 …馬車まで、送ろう」
「あ、…りがとう、ございます」
私は殿下にエスコートされるがまま、王宮の廊下を歩いていった。
「…………お前が、そういう、つもりなら、俺は……………………」
殿下の、最後の警鐘だったとも言えるこの言葉が、私に聞こえることは無かった。