40 頑張ってね
あれから、数ヶ月。
ユウは、いとも容易に教員免許を取った。
勿論、それが並大抵のことでないのは、同じ免許持ちとして知ってる。
多分、要領が良いのだと思う。
こうして、新学期ではないが、ユウは教員として学園に来ることができた。
私達の通う学園は、学費が高いだけに権力者の子供が多く通っている。
そこで、私達はツテを増やし、情報を得ることにした。
最初は少し訝しんでいたユウとも、いまでは協力者としての信頼を築くことができた。
多くの人が私達を似ていると言った。
皆、私達に血縁関係があるからだと思っているけれど、私は、育った環境が少し似ているからだと思う。
「ユウ、明日は殿下とのお茶会だから」
「分かりました」
私は、学園から帰った後、ユウにそう報告をした。
私達は、当たり障りなく生活を送っている。
…そもそも、私は前世ほど世界を変えることに重きを置いてないし。
「殿下の方でも進展があれば、お話があると思う」
因みに、殿下は殿下で国王様の件を調べている。
殿下は、カペラさんと協力して調べているようだった。
本当は一緒にやれば早いのだろうけど…。
「あんまりアテに出来ませんね。特に、あの女は」
ユウとカペラさんが犬猿の仲なのだ。
初めて会ったときに大喧嘩をしてから、ユウはこの言い様だし、カペラさんも『拗らせくーでれしょたは守備範囲外なのよ!!』と、意味が分からないながらも悪口らしき言葉を叫んでいた。
「…さすがに"あの女"呼ばわりはどうかと思うけど…そう言えば、ユウが王宮に来るのも明日だっけ?」
「はい」
ユウは、王宮で開かれる任意の学会に参加している。
その学会の日が、明日というわけだ。
「じゃあ、まあ…頑張ってね」
「姉上も、適当に頑張ってください」
…この数ヶ月でユウの態度は大分砕けたけれど、この冷たい態度は全く変わらない。




