37 ……えええッ!
「と言うわけでですね、殿下。義弟がわりと可愛いんですよ。」
「…そうか」
今日は休日と言うことで、殿下とたまのお茶会をしている。
昔は交流を深めるためという名目があったけれど、近頃はただの近状報告会に成り果てている。
因みにこのお茶会に、礼儀もへたっくれもない。
「殿下のほうはどうです? 年上の生徒さんは」
「…別に、年が一つ二つ違った位でそこまで変わる訳じゃないぞ?」
そんなことはないと思う。
特に、これくらいの年のときは。
「殿下は大人ですねー。」
「…そうか?」
殿下は満更でも無さそうな顔をした。
「そういえば、お前のクラスにピンク髪の少女がいるだろ?」
殿下がフッと真面目な顔をしたかと思うと、唐突に切り出した。
「…いますね」
私は、すぐにあの賑やかな少女が頭を過った。
「あの少女、王宮で雇えないものだろうか」
… 王 宮 で ! ?
「…ええっと、私のクラスにいるということは、学生ですから、無理なのでは無いでしょうか。」
と言うか。
王宮で働く人間は、皆、優秀なものばかりだ。
あの子…あの子が…王宮で…?
「まあ、そうだよな」
「そもそも。 何故そのような考えが浮かんだのですか?」
「ああ、その少女が俺の所まで数学を教わりに来てな」
「ええ」
「そのとき、とても興味深い発言をしたんだ」
「…と言うと…?」
なんか、嫌な予感がする。
「何でも、国王が政治の不正を黙認していると言うのだ」
……えええッ!
「何で、数学の問題を教わりに来たときに、そんな、場合によっては不敬罪で殺されても文句を言えないような発言が出るのですか!?」
「分からない。 が、俺は確かに聞いた」
「…成る程。…え、で、何でその発言から彼女を王宮で雇うことに……ッまさか!!」
「ああ、俺は彼女の言葉に心当たりがあるんだ」