04 大丈夫!多分!!
歩けるようになりました。
早いよって声が聞こえて来るような気がするけれど、いやいや私も頑張ったんだよ。
だって、生まれたての頃は身体が思うように動かないし、動くようになってもあんまり早く歩けるようになると、変だし。
私のまわりには、常にお手伝いさんがいるんだもん。
そりゃまあ赤ん坊の側に大人がいるのは当たり前と言えば当たり前だけど。
私は大丈夫だから、ご家族のために早く帰ってあげなさいって言いたいところだけど、そんな流暢にしゃべる訳にもなぁ。
言葉のほうは、なんとなく伝わるくらいの赤ちゃん言葉をしゃべってます。
舌が足りなくてそれしか喋れないので。
前世では、身近に赤ん坊なんていなかったからどれくらいの言葉を喋るのか分からないもんな。
うん、まわりも不思議がってないし、大丈夫!多分!!
というわけで私は最近は屋敷のなかを探検しまくってます。
ちなみに屋敷は、流石公爵家と唸るくらいに広い。
「あら、アルルちゃん。どうしたの?」
「あ、お母しゃま!さっき、図書室に行ってきました!」
「あらまあ、それで本を持ってるのね。どうだった?」
「とっても、広かったでしゅ!」
「よかったわねえ。これからお茶をするのだけれど、アルルちゃんもどう?」
「やったぁ‼私、こないだのお菓子が食べたいです!」
「アルルちゃん、気に入っていたものね。ちゃんと用意したわよ。」
「ありがとうございます、おかあしゃま!」
アルルちゃんと言うのは、私の名前だ。
愛称らしいけど、家族もお手伝いさんもアルルちゃん、アルル様、と呼ぶからこの呼び方が馴染んでしまった。
お母様はおっとりした人で、私にとても甘い。まあ、お父様のほうが甘いけれど。
みんな優しい人ばかりで、なんかくすぐったい気分だ。