22 …感無量ですね…。
「さあ、中にお入り。この学園はかなり複雑に出来ている上に広くてね。
職員の中にも迷うヤツがいるんだ」
カナヨルタ校長先生はそう言って、簡単に校舎の間取りを説明してくれた。
「ついたよ。ここが職員室だ」
ガラガラ
校長先生が扉を開けた。
「わぁ…!」
職員室は思っていたより広い。
真ん中の机を囲むようにして、レトロな事務机が2、30個ほど並んでいて、あちこちにロウソクが灯っている。
多分あの中心の机が校長先生のものなんだろう。
…あんな目立つところに座ったら、私ならそれだけで緊張するな…。
「ここが君の机だ。」
私の机は所謂、下手という位置のはしっこにあった。
暖かみのある古めかしい木でできた机と椅子。
上には、書類が置かれている。
「座ってみるか?」
「はい!」
椅子をひいて座ってみると…。
「どうだ?」
「なんか…感無量ですね…。」
それ以外、思い付かない。
そうだ、昔、聖女の認定証を神父様から受け取った時と同じ気持ち。
「そうか」
校長先生は満足したみたいにニヤッと笑った。
「では、私はもう一人の新米先生を迎えに行くかな。」
そう言って校長先生は踵を返した。
私は慌てて立ち上がる。
「あのっ! ありがとうございました!」
「ああ。」
校長先生は振り向かずに手だけ振ってくれた。
「おっと、そうだ。その書類は君の仕事の説明書みたいなものだから、時間があるときに目を通しておきなよ。」
最後にそれだけ言って校長先生は職員室から出ていった。




