17 変な、感じ。
もとの時間軸に戻ります。
意識が冴えていく感覚がする。
ああ、今のは夢だったのか…。
ぼんやりとする目を開ける。
「…?」
目を開けると、天蓋が見えた。
…ここは、どこ?
横になっていたらしい。座ろうとすると、頭がズキリと痛んだ。
「…っ!」
「お嬢様!目が覚めましたか!」
側にいたらしいメイドさんが飛んでくる。
…ああ、ここは。
「大丈夫ですか、お嬢様!」
「どうしたの、そんなに慌てて」
このメイドさんも私が赤ん坊の頃から見てくれている娘だ。
名前は、カナ。
普段は落ち着いててしっかりしているのに。
「どうしたもこうしたもありません‼お嬢様はもう一週間も眠られていたのですよ!?」
「…一週間!?」
「そうです!パーティーから帰られた後、倒れるように眠られて、一時はお熱も四十度ほどにまで上がったのです!」
「…あらまあ」
確かに長い間夢を見ていた感覚だったけど、そんなに時間が経っていたとは。
…何でそんなに熱が上がったんだろうなぁ。
辛いこともあったけど、私にとっては良い思い出なのに。
「何で、そんなに呑気なんですか!?私、し、死んだりしてしまうんじゃあないかと、こ、怖くて…」
「大丈夫、人はそんなに…簡単に死ねないわよ」
「そんな問題じゃありません!」
カナは私にすがっておいおいと泣いた。
…さっきまで天涯孤独だった頃の夢を見ていたものだから、何か、変な感じね。
そのうち、カナの声を聞いた他のメイドさんも集まって来て、泣き出し、私は落ち着かない。
これがきっかけで屋敷じゅう騒がしくなり、お父様とお母様までやって来た。
…心配を掛けてしまったなぁ。
そう思うことも馴れなくて、思わず苦笑してしまった。
…ごめんね。
そう、心の中で呟いた。




