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16 これが私の…
しかし私は、幸せになる方法をいくら考えても思い付かなかった。
当たり前だ。
だって、必死に毎日を生きていた私にとって、幸せとは空想することでしか知らないのだから。
でも、何となくそれは気持ちの良いものだと知っていた。
そこで最終的に考えた。
世界が潤えば、聖女である私も幸せになれるのではないかと。
いろいろな人に、背負いすぎだと言われた。
でも、沢山の場所を巡れば、私に賛同する人も現れた。
気付いたら、知り合いができて。友人ができて。弟子までできた。
関わる人が増えるにつれて、私は幸せについて考えることはやめた。
私を通した繋がりができて、私はいつの間にかそれぞれの地域を渡す橋になった。
人が沢山集まると、優れたリーダーが表れ、似た考えを持つ者同士で国が沢山できた。
でも、いがみ合うことはなく。お互いの国を尊重し合っていた。
かつて荒れていた地が豊かになった。
かつて荒れていた人が笑顔になった。
その様子を見て、私は胸が熱くなった。
ああ、私は今なら胸を張って言える。
これが私の幸せだ。