閑話 国々を巡る人々の結末
手懐けて利用した彼を、最後には裏切った。
「なんのっ、つもりだ………!」
「―――申し訳ありません」
表情を崩さず、謝る。これが感情労働と言うやつか、と思いながら心の中では優しく笑いかけた。
―――ごめんね。
「私は―――僕は、伝説の聖女の同行者として、彼女を導かなければならないのです」
「な、ぜ……………僕が…………っ!」
「あなたでは、駄目なんです」
前世を知ってる。物語を知ってる。これからの行く先を、全てわかってる。
シャーヴァイス・ド・ルラーナでは。もとのまま聖女様を救えない。
「入れ替わってください、この私と。あなたはアモルサラン、僕はこれからをシャーヴァイスとして生きるのです」
「駄目だ………! ふざけてるっ! 僕はあの女に裏切られた人間として、復讐してやるんだ………!」
「できませんよ」
できっこない。
そうと知ってる。
けれど…………君が意見を変えないのなら。
敵とみなすことになる。
「あなたを魔女として、北の国へ閉じ込めます」
「なに、を………?」
「犠牲は、三十年」
言葉が終わると同時に、凄まじい風が吹き荒れる。
ゴウゴウと体中を押され、倒れそうになる。
あぁまた………消える。
「…………ごめんね」
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