幕間 あなたのいない世界は…[中]
「………で、で、―――で ん か ぁ っ!
これは大変ですよ!」
「………何が?」
「読んでくださいよこれ!」
「いや悪い、私は蛇の言葉はわからない」
文字なのかこれ、が正直な本音だ。
「私だって蛇語は読めませんよーっ! これは人の言葉ですよぉっ!」
「え"っ」
よく見る。
『ォ、`'ノフ/∣一ヶ>▷』
よく見る。
『ホ " ク ハ ユ ウ ラ 厶』
「………は?」
「一大事ですよ、殿下! このクソ男が蛇に!
ピッタリですよね!」
「え、ええ………? ほんとなのか?」
まさかな、と思いながら蛇を見た。
するとスッ、と目を逸らされた。その横顔は見れば見るほど………
「…………ユウラム、なのか?」
………。
返事はない。当然だ、蛇なのだから。
と思うと………
『T』
スッ、と上品に尾でそう書いた。
「あ、truth………」
「やっぱりね……そのままマルバツで聞くわ。自力で戻れる?」
『F』
「戻す心当たりはある?」
『T』
「そこまで自力で辿り着ける?」
『F』
「戻ることは戻れるが、補助が必要だと」
「保護も必須ですね。これは参考までに聞きたいんだけど……………その心当たりって、アルルのお父さんだったりする?」
蛇がギョ、と目を見張った………ように見えた。あくまで主観だが。
「なぜそう思ったんだ?」
「ちょっとね………何か引っかかりがありまして」
ふっ、とどこか遠くを見るような目をした。それは時々、アルルもしていた目だ。
なんて考えていると、彼女はまた目に光を戻してニコリと笑った。
「さてさて………じゃああたしたちは、首謀者を詰めましょう!」
あの悪役令嬢、あたしは嫌いだけど。
今の『センセイ』は、まだ死ぬべきじゃないよね。
聞かせるともなく、そう呟いた。
「………えっと、どういうことだ?」
「まぁまぁ。 殿下! ユウラム! あたしの手をとって!」
「えっ………」
パアァァァァッ!
と、強く手を握られた瞬間に彼女が光った。




