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幕間 あなたのいない世界は…[序]


『……おまえが好きだ……』



押し殺すように恥じらうように、ボソリと呟いたイケメンの王子様。そうそうその言葉を待っていた!



―――はぁ〜、長かった。ホントに。

この王子、頭でっかちな上に不器用すぎてオトすの面倒くさすぎ。まぁそこが人気あるんだけどねぇ。



「…………またあんたは、姉さんのゲームやってんの?」


「うんっ! だってコレ本当に面白いよ! お母さんもやりなよ」


「いい。あんたも程々に、お婆ちゃんにバレないようにやって満足したら終わりにしなさい」


「はーい」



全く、姉さんの遺品ならもっと立派なものが色々あるのに、何でよりによって………なんて嘆くお母さんの声が聞こえる。


いいじゃん。面白いんだもん。

それにさ趣味のことは知らないけど、絶対伯母さんも乙女ゲーム好きだったと思うよ。そもそもセーブデータ進んでたし、少ないけど面白いのばっかり集まってるし。会ったこと無いけど、趣味は合いそう。是非語り合ってみたい、あたしだ。



「それにしてもこのゲームは珍しいわぁ。だって『悪役令嬢』の前世が『聖女』だって言うんだもん」



――ヒロインが何をするにしても邪魔をしてくる悪役令嬢の秘密。それは彼女の前世が聖女だったってこと。



「世のため人のために奔走してきた筈の聖女は、生まれ変わって冷(・)遇(・)され、更に貴族として人間の闇を見ながら育つことで世の中の不条理を知る。そしてそれを変えようと努力する………」



手始めに彼女は王子を籠絡した。けれど彼女はあまりにも見えるものが少なく、自らの世界に夢中で王子の寂しさに気づかない。やがて二人の中が冷えたところに、天下のヒロインが現れる。



『わたしは、あなたのことをすてきだと思うわ』



………あぁ、うん。

それで王子を取られた悪役令嬢が逆上し、王家を巻き込んだ大事件を起こす。それでまあなんやかんやあり、最終的には自滅。



「聖女が悪役令嬢に、かぁ」



あはは、と笑った。

そうまで立場を変えるのには、一体どれだけの理由があったんだろうか。


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