10 ゆっくり来て!
はぁ~。
気が重いな~。
今日はパーティー当日。
手紙を貰ってから、あっと言う間でした…。
別に、パーティーそのものは良いんだけどさ。
私、昔から人と話したり美味しいもの食べたりするのは好きだし。
礼儀作法は、若干の不安があるけれど、まあ及第点はもらえると思うし。
問題は、ドレス。
前世では一応聖職者だったから、ドレスなんて豪華な服は着たことなかった。
勿論、生まれ変わってからは公爵令嬢らしい服を着たこともあるけど。
でも、身体に節約癖が染み付いているのか、あんまり好きじゃない。
高い服着てると、緊張しちゃうしね。
でもパーティーに出るともなると、そんなことも言ってられない。
今はメイドさんに髪を結ってもらってます。
…はぁー。
「お嬢様はお髪も綺麗で良いですよねー。私、癖毛なもんで、雨なんか降ると大変なんですよー。」
ちなみにこのメイドさんはイラと言って私を赤ちゃんの頃から世話してくれてるメンバーの一人である。
「確かに毎日は大変よね。私なんか貴女たちに全て任せてるのにたまに切りたくなるときがあるのよ」
「そんな!勿体無いです。せっかく綺麗なのに。」
「冗談よ。」
「良かったー。あ、できましたよ」
「ありがとう」
よし、これで私が済ませなければならない支度は全て終わった。
後は王子殿下が迎えに来るのを待つだけ。
…男性って大変だよね。エスコートしなきゃいけなくて。
特に殿下なんか、お城で支度して、ここに迎えに来て、もう一回お城に、私と一緒に向かうんだもんね。
わー大変。
うん、それだけ大変なら、時間がかかってパーティーに遅れることもあるかもね!
殿下、どうか急がずゆっくり来て!
「失礼します。お嬢様のお支度は終わりましたか?王子殿下が迎えにいらっしゃってますが」
「あ、今終わりましたよー。」
「では、お嬢様、殿下が客室でお待ちです。」
「…今行くわ。」
…あーあ。