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90 あなたはーー
夢や目標は、人に話すと叶いやすいとか。
「ふ、ふふッ………アハハハハハっ! 何を!」
レミさんは笑った。
おかしくて堪らない、というように。
「なにを根拠に私を『アモル』などと。私は私なのに。
先生は本当に、面白い方ですねぇ……!」
「根拠ならあります! この国の態度は、誰が見ても明らかにおかしかった」
ルラーナ家の令嬢に、妙なほど腰の低かった国王。
友好的だった教師を突然いじめだした生徒たち。
不自然なほど好都合に現れた味方。
………同級生に『サラン様』などと呼ばれる少女。
―――そういえば、あの『魔女』の名前はアモルサランだった。
「あなたは『アモルサラン』。魔女を語った、聖女の友人。その記憶を持つのではないですか?」
「ふふふ………」
彼女は、まだ、綺麗に笑う。
「――あなたは転生の本質を、誤解していらっしゃる」
その言葉が耳に届く、刹那。
カチャ、ギィーーーと重く古いドアの響く音がした。
入ってきた、のは…………
「…………お、父様?」
―――チェック。
レミさんが、ややおどけたようにそう言った。
1日おき更新、目指せ完結。




