09 束の間の休息、だと思ったのに。
私は今、部屋にいる。
というのも、この間殿下のイタズラに巻き込まれたことを労って、王妃教育に少しの休暇を頂いたのだ。
一応、私もついつい王子殿下のイタズラを見入ってしまった立場だったし、そんな気を使わなくてもっていう手紙を出したんだけどね。
その分はしっかり怒ったから、と返された。
うんまあ、あのお説教は確かに王子殿下の言うようにとても怖かった。
…と、同時になんで私は何もやってないのに怒られているんだ?という疑問が、浮き上がった。
だってだって、私見てただけじゃん!百歩譲っても共犯でしょ!?
主犯はあの王子様だよ!と。
お説教の間、ずっとそう考えていました…。
でも、よく考えてみれば殿下も多分私が帰ったあと、こっぴどく怒られたんだろう。
その証拠に殿下から謝罪の手紙を受け取った。
…まあ、私、怒られた後殿下にしっかり文句を言っておいたから、もう良いんだけどね。
そう思いつつも、満更でもない気分で手紙を開いてみたら…。
拝啓 アルルベッド・ド・ルラーナ令嬢
先日は私の身勝手な行動に巻き込んだこと、深く謝罪する。
王妃からの命令で婚約発表を目的とするパーティーを行うことになった。
詳しい事項は追って連絡する。 敬具
追伸 母さんの怖さは分かったか?母さんのほうはお前を素直な娘だと褒めてたぞ。
恐ろしいことが書いてありました…。
いや、うん。追伸のほうは、良いんだけどさ。
冷静になってから、私が王宮でもリラックスできるようにしてくれたのかなって思ったし。
問題は事務的に纏めてあるほう。
…パーティー?え、まさか王宮で?しかも、婚約発表?
私が婚約を知らされてから、まだほとんど日が経っていないのに?
…王族の婚約だから?王族の婚約だから、国の行事みたいなものなのか?
…なんか最近、自分の知らないうちに自分が着飾らされているような気分なんですが。
…貴族の令嬢って、大変なんだな。