87 ちょっと違いますね?
お久しぶりです………。すみません。
「闇の力だと? それはあの伝説の聖女の仇、魔女・アモルの力ことか?」
「わぁなんか厨ニっぽい…………じゃなくて、そうです!」
「あの、自分の故郷を毒で濁らせて」
「ええ」
「聖女の旅に同行して」
「ええ」
「裏切って殺した」
「んー、ちょっと違いますね?」
「何だと?」
今の話は歴史的事実だ。違うも何も、そうなのだとしか言いようが無い。…………が、この令嬢はかなり特殊なのだ。
「伝説の聖女がーー魔女に殺されたってのは事実です。でもねぇ、初めに裏切ったのは聖女のほうなんですよ」
「…………はぁ!?」
普通に聞けば、侮辱でしかない。国の信仰する聖女様について、とんでもないことを言い出したのだから。
だが…………この令嬢を、使うと決めたのも俺だ。話は全て、最後まで聞かねばなるまい。
「……ま、どちらも極悪人ですケドね。どうします? これからアルルベッドのとこに行くんですか?」
「………そうだな」
危険な目に遭うという可能性があるならーー呑気に待っている訳にはいかない。
「……じゃあ、出発ーーー」
ドーーーンッ!!
突然、どこかから大きな爆発音がした。




