86 同じことだろう?
――――その頃、王宮。
(…………あいつは、アルルは今、どうしてるだろうか……?)
本当は、引き止めたかった。けれどそれを言ったところでどうにもならないだろうし、俺にだってどうしようもない。
けれど何故こうも毎度、ややこしいことになるのだろうか。
「………………、ちょっと殿下! 聞いてます!?」
怒った声が聞こえて、ふと我にかえる。ぼうっとしてては、いけない。
「………あぁ、…………メルサ嬢。アルルが心配だって話だったか?」
「はい!? …………いや、違いますよ!! あの人が危険だって話です!」
「同じことだろう?」
「…………うぅ駄目だ、この王子まるっきり攻略され済み………まぁ何だか知らないけど悪役墜ちしてないあの悪役令嬢がアレに関わるのは気の毒な気もするケド………やっぱだめ! あたしだって王妃になりたいし!」
…………また良くわからないことを。
彼女から情報を得ると決めたのは自分だとはいえ、時々対応が面倒臭くなる。
「…………要するに?」
「…………ああ、もう! シナリオでは本来、アルルは北の国で闇の力を手に入れるって話ですよ!」
「………何だって…………?」




