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第2話 スキルボードの試練


「っ!? 母上えええぇぇぇぇ――――っ!!!」


 俺は愛する母上を抱き締め、名一杯叫んだ。

 次の瞬間ーー俺の見ている世界は一変し一面真っ白に変わった。


 そして突然目の前に現れた女の子が――


「初めてのスキルポイントゲットおめでとぉーございまぁーす!」


 ――と能天気な顔で笑って言った。


「は?」


 俺はTPOを全く考慮しない子供の出現に茫然とする。


「僕はゴブリン神様にお仕えする女神バンビだよ、よろしくね」


「……」


 女神などと名乗っているが完全に子供、10歳くらいの愛くるしい幼女だ。

 恐らく伝説に聞く女のゴブリンの上位種ゴブリナだ。


「これから君には今回得たスキルポイントの振り分けを次の中から選んでもらうよ」


 ①ホブゴブリンに進化(パワー型)。

 ②ゴブリンマジックに進化(魔術型)。

 ③お任せでスキルポイントを振り分け(ボーナスとしてポイント1000倍)。

 ④試練に挑戦して自分で振り分ける。


「あっ、意味が分からないなら僕が勝手に処理するから安心してね」


「……」


 訳のわからぬ状況で呆けてる俺に対して女神バンビは一本的に「どうせ理解出来ないんでしょ」と言う感じで説明し、

 そして――


「じゃあ僕が振り分けちゃうね」


 ――と終わらせようとした。


「いや、待ってくれ」

 日本で死んだ時に女神と会った経験もあり、俺はなんとか再起動した。


 俺の言葉を聞き女神バンビは目を丸くする。


「君しゃべれるの!? 滅多に現れないゴブリンロードですら片言なのに!」


「まあ、俺は元は人間だったからな」


「えええーっ! そんな大きな魂がゴブリンになっちゃたのー」


「大きいかどうかは知らんが見ての通りだ、それでここは?」


「あっ、ここはね、言わば君の精神世界だよ」


「精神世界?」


「そうだよ、ここの世界の時間の流れはとても遅いんだ、火傷した時とか時間が長く感じるでしょ」


 ――あっ、これはあれだな精神と○○の○○って奴だな。


「ああ、確かに」


「具体的にはここで一時間過ごすと、現実世界では10分くらい経過しているよ」


 (あれ……かなり早いな)


「それでね、この精神世界はスキルポイントを得たゴブリンさんが、ポイントを振り分けるためにあるんだ」


「は?」

 俺は眉をひそめると「そんな話し聞いたことないぞ」と怪訝な顔で聞き返した。


「ゴブリンだけのシステムだからね、それにここでの事はすぐに忘れちゃうからね」


「此処って今回見たいにスキルポイントを得たら直ぐに来ないといけないのか?」


 正直、今回みたいなのは絶対に勘弁して欲しい。今でも現実世界では俺の胸のなかで母上が眠っているのだ……。


「そうだよ、だから戦闘中にボケーとしてるゴブリンさんがたまにいるでしょ」


「は? ふざけんな! そんなのただの馬鹿じゃねえか! 戦闘中にボケーとしたら死んでしまうわ!」


「僕もそう思うけど、これは弱い種族のゴブリンが強くなるための特別なシステムだからね、ちょっとは我慢してもらわないと。それで君はどれにする?」


(こいつ俺が怒ってるのをスルーしやがった。)


 女神バンビはそう言って空間に表示された文字を指差した。


①ホブゴブリンに進化

(パワー型、現在0/5ポイント)


②ゴブリンマジックに進化

(魔術型、現在0/5ポイント)


③お任せでスキルポイントを振り分け

(ボーナスとしてスキルポイント1000倍)


④スキルボードを操る能力を得てスキルポイントを自分で振り分ける。

 (試練あり)



「③のスキルポイント1000倍っておかしいだろ、バグってんじゃねえのか?」


「バグじゃないよ。例えば佐藤さんが息したモノマネとか、佐藤さんが1秒前に息したモノマネとか無限にあるスキルにランダムに振られるからね」


(何それ佐藤さんの息だけで無限だろ……詐欺じゃねえか)


「四番一択しかねえじゃねえかよ」


「いいのかい? この能力は早い者勝ちで唯一無二の能力なんだ、だから試練はたった一度しか受けられないよ」


「えっ!」


「一回につき一度しか受けられないんだよ、それでも君に受ける覚悟はあるのかい?」


 一回につき一度、ゴクリ

 ……ん、待てよ。

 それってここに一回来れば一回受けられるって事か?


「……えっと、念のために聞くけど、一回につきって言うのは、ここに一回来たら一度受けられるってことか?」


「そうだよ、前回受けて無くても一度しか受けられないんだよ、それでも君に受ける覚悟はあるのかい?」

 バンビはまるで俺にその度胸があるのか試すような驕った態度だ。


「アホかっ! それは絶対やっとかないとダメな奴だろ!」


「えっ!?」


「えっ? じゃねぇよ」


「ふふふっ、バレたか」

 女神バンビはテヘっと頭を軽く叩いた。


(くっ、なんか可愛いけどイラっと来た。と言うか本当に演技なのか?)


「やるね君。もしかしたら君はゴブリンの救世主になるかも知れないね」


「はあ? 馬鹿言うな、誰がゴブリンなんかの救世主になったりするんだよ」


「ふふふっ、まあそれも――これから僕が出す超難題を3門解けたらの話さ、各問題の制限時間は5秒だよ。第一門で99・9%のゴブリンが脱落するけど覚悟はいい」


 99・9%……。ごくり。


 すーはーすーはー

「よし来い!」


「1➕1はいくつかな?」


 はっ!? 何? 合体したら3になるとか言う落ち?


「いーち、にぃい」


 くそっ、初回だからストレートで!


「2」


「えっ!?……せ、正解だよ。」


「あ、あほかー、簡単すぎるだろ!」


「お兄さん……もしかして天才ですか!?」


「……ゴブリン馬鹿すぎ」


「そ、そんな口を聞けるのも今のうちだよ? 次はゴブリン史上一匹も解けていない難題だからね!」


「分かったから早く言え」

俺は早く来いと、カモンカモンと手招きする。


「15✖11はいくつ?」


(なにぃー)


「いーち、にぃい、さあん」


 えっとえっと150足す15で――

「165」


「ええーっ! うそ! お兄さんスゴすぎるよ!!」


「そ、そうか……」


 ヤバイ今のはヤバかった。 難易度の跳ね上がり方が半端ねぇ。


「お兄さん! ここまで来たら絶対ゴブリンの救世主になってね!!」


「いやゴブリンの救世主にはならないから」


「即答ですか! ……ふふっ、でも僕はちゃんと分かってるんだからね」


「……」


(いやお前の頭で俺を理解するのは無理だろ……)


「最後の問題だよ7わる111はいくつ?」


 最後なのにいきなり問題出しやがった!

 7割る111って割り切れねえよ!


「7分の111」


「や、やっぱりお兄さんが僕の旦那様なんだ!!」


「は?」


「僕はゴブリンの女神だからね、救世主の子供を生む運命(さだめ)なんだよ!」

 怖い言葉を発して幼女女神バンビがなんか感動している。


「悪いが俺は幼女とヤる趣味はない」


「奥さんにしてくれないと僕死んじゃうんだよ」


「は? 何言ってんの?」


「救世主が現れたらこの精神世界のシステムは無くなる事になってるんだ。そしてゴブリンの女神の僕はゴブリンの救世主の奥さんになってここを去る事になってるんだよ」


「そんなの勝手に去ればいいだろ?」


「無理だよ! 女神は救世主の愛の力で肉体を得ないと精神世界と共に消滅しちゃうんだ!」


「いや愛なんて無いし」


俺は南無阿弥陀仏と手を合わせた。


「ま、まさか本当に抱いてくれないつもりかい?」


「すまない、俺の童貞はお前の命よりも重いんだ」


「さ、さすがは救世主……なんて鬼畜なんだ。でもね、今の君は勇者どころかそこらのオッサンのワンパンでも死ぬんだよ」


「えっ!?」


「その弱さを補うのが救世主の伴侶たる女神の、僕の役目なんだ。運が悪かったらすぐにオッサンにヤられちゃうかも知れないよ?」


「……も、問題ない。お、お、俺には特別な知恵があるからな」


 俺は今の自分の弱さを知らされ、震えながら応えた――可愛くてもおっぱいのない幼女との初体験は無理だ。


「……分かった、今回は諦めるけど僕と君は結ばれる運命だからね。転生して次に出会った時はどんな手を使ってでも僕のものにするからね」


「分かった」

(いい女に転生したら喜んでヤってやるよ)


 精神世界でその後、数時間。

 俺はスキルボードの呼び出し方などの操作方法をレクチャーしてもらった。


 特に役に立ったのが2つ。

 一つ目はこれからはスキルポイントをゲットした時はメールの通知音のようにピコーンと言う音が、俺の頭の中で鳴りお知らせが入る事だ――いつスキルボードを立ち上げるかは俺の自由って事だ。

 二つ目は重要度が低いスキルを非表示にする機能だ。おかげて無限にあるゴミスキルを見なくてすむ。




 ――そして女神バンビと別れの時が来た。


「じゃあな、次は俺がヤらせてくって頼むくらい、いい女に生まれ変わってくれよ」


「もちろんだよ任せておいて。次は絶対にお兄さんに女にしてもらって、ギャフンと言わせて見せるからね」


「ああ、お前を抱くことになったらギャフンと言ってやるよ」


「絶対だよ、約束だよ」と手を振り見送るバンビに俺は「ああ約束だ」と応え精神世界を後にした。


女神バンビ「ねえディアベル君て鬼畜だよね」

ディアベル「何だ、まだ俺の童貞はお前の命より重いって言ったのを気にしてるのか」

女神バンビ「違う違う、その事じゃないよ」

ディアベル「と、言うと?」

女神バンビ「ディアベル君てさ、妹さんの命と引き換えに転生しちゃったし、スキルポイントをゲットするためにお母さんを殺したでしょ」

ディアベル「おい、人聞きの悪い事を言うんじゃない! スキルポイントをゲットするために母上を殺したわけじゃないぞ!

女神バンビ「ふふっ。大丈夫、僕にはちゃんと分かってるんだから」

ディアベル「ふざけんな! お前の空っぽの脳みそで俺を理解できるわけなえだろ!!」

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