第七話:口喧嘩と思い込み
好きだからこその行動が、彼を迷わせちゃった。そんな感じがした。部活仲間の男友達である陽の協力を得ながら、和虎に会いに行ったわたし。驚いたことに、彼はクラスの女子たちに守られるようにして、わたしと陽に向き合った。でも、周りの女子たちが芝居とは言え強すぎたせいか、彼は自分を出すことも無く、そのまま放課後に突入。放課後といえば、もちろん学校から外に出て家に帰るだけ。
外にいる時は、割といつも積極的に話をし始める和虎だったのに、学校の中でのことがあったからか珍しくまだ何も話しかけて来なくて、わたしは戸惑っている。しばらく歩いて、座れる公園があったのでそこに行き、まずはわたしも和虎も落ち着くことにした。
「あ、のさ……和虎って」
「なぁ、朔夜は……」
「あ、ごめ」
「悪ぃ、朔夜からしゃべれよ」
何だか気まずい。何コレ? なんかあったっけ? どう考えても廊下での出来事が犯人なんだけど。
「和虎、怒ってるの?」
「怒ってない。俺、元から無口だし」
「嘘じゃん! いつもうるさいくらいに話しかけて来るのに何で急に無口になるの? 教えてよ!」
口調は変わってないけど、いつもの勢いが感じられない気がする。何で?
「お前って、あいつのことが好きなのか?」
「は? あいつって、陽のことを言ってる? いや、違うし」
無口って、もしかしてずっとそれを考えてたとか? 何でそんなことで無口になるの?
「友達って言ってたけど、その割にはすごい仲良く見えた。彼氏とかか?」
「違うし」
「ふぅん? 渡り廊下であいつと話してるところ見えたけど、あれがただの友達だとでも?」
「和こそ、あんなに女子の取り巻きとかがいて、何なのあれ? それも私といる時とは違う和だったし。私といる時はなんであんなキャラなの?」
やばい流れ。これって、すごく嫌な予感。わたしの気軽なお試しだったのに、どうして和虎はこんなにも突っかかって来るの? どうして陽のことをそんなにも気にしてるの? 彼氏じゃないってゆってんのに。
「俺の気持ちなんて、朔夜は知らないだろうな。女子の取り巻きとか、そんな目で見るなよ。同じクラスの女子と話くらいするだろ? でもお前は何で、部活仲間と休み時間の時にまで仲良くしてんだよ? 意味分かんねえよ……」
「和こそ私の気持ちを理解してないじゃん! 学校の中で会わなくしてたのって、そういうことなの? 女子と仲良くしたいから私を避けてたんでしょ? それならそう言ってよ! 私だけバカみたいじゃん」
「何だよ、それ……分かんねえよ」
あぁ、駄目だこれ。もう止められない流れだ。こんな喧嘩みたくするはずじゃなかったのに、こんなはずじゃなかったのに、いつもの楽しそうに話す和虎がどこかに行っちゃった……ごめん、ごめんね和虎。