第四話:朔夜の友達
幼馴染だからといって、いつも一緒にいるわけじゃないのは誰でも同じ。和虎にもいるだろうけど、私にも普段よく会う友達くらいいる。と言っても、同じ部活の男友達ってだけ。
「ごめんね、待った?」
「いや、いつもより早いよ。あれ? 朔夜って、いつも一緒にいる奴いるじゃん? そいつは今日はいないの?」
「彼氏じゃないし……そんな、常にベッタリしないよ。陽こそ、いいの? 彼女いるのに私の買い物に付き合うとか。おかしなことになるんじゃないの?」
「そりゃあ、何かあればでしょ? 俺、朔夜は男女関係なしの友人だと認識してるよ。それに、途中でみんなと合流するんだし、全然怪しい関係に見えないでしょ」
「うん、それもそっか。じゃあ、大丈夫だよね。行こっか?」
「うし、まずは朔夜の買い物な。そん次は、合宿の食糧買いに行っとくか!」
「おっけ。いこ」
部活で一番話が合ってよく話をする陽は、とても気さくな男子。高校の3年間は、陽を含めて友達が多くいたからこそ楽しく過ごせたかもしれない。陽は彼女がいることもあってか、気遣いは抜群だし見えないところも気付くくらいにいい男。私は一度そんな話を振り、彼女がいると聞いた時から色々と相談に乗ってもらってたりしてる人。
当然だけど、和虎のことも相談してる。男の気持ちは男に聞くことにしてるけど、タイプが違うから参考にはならないかもしれない。
「和虎って奴はイイヤツなの? 朔夜、すごい好きなんでしょ?」
「ん、まぁ……好きだね。私の片思いだけどね。ずっといつも一緒にいるのに気付かれないなぁ、なんて」
「卒業の時に告れば? ぶっちゃけ、高校終えれば最後じゃん? 最後の十代って奴だし」
「猶予、2年あるけど? 何で最後なの」
「学校行ってる時は会いやすいけど、卒業したら忙しいしあっという間だと思うよ。だから、最後」
「あー、そういう意味ね。んー……告ってさ、恋人になれると思う? 陽はどう思う?」
子供の頃からずっと近くにいる関係だけど、今の私と一緒にいるのは腐れ縁だからなんじゃないかなとか、何となく暇だからいるだけとか、色々考えちゃってる。それに、好きなのはきっと私だけで和虎はそこまで考えてない気がして、いつも不安。
「そいつは何か朔夜にちょっかい出してこない? わざとらしさとか、甘えてきたりとか……」
「ん……昔そうじゃなかったけど、なんか今はキャラ設定してて、俺様系とかで接して来てるけど……それってどうかな?」
「へぇー? それはお前にだけなの? 他の女子にもその、俺様系見せてんの?」
「分かんないんだよね。他の女子と一緒にいる時を見たことないし」
「じゃあ、反応見てみる?」
「ど、どうやって?」
「俺と朔夜が一緒にいるところを見せつける。そしたら、何となく分かる気がする」
「じゃ、じゃあ、お願い」
「分かった。……というか、たかだか一緒に歩いてるだけで怒ってたらすぐ分かるな」
友達で部活の仲間でもある、陽の協力を得られて私は和虎の本心を探ることにした。実は同じ学校にいても、和虎は普段はあまり近くに来ない。クラスが離れてて、校舎も渡り廊下で別れてるだけだけど、学校では何故か近寄ってこないのが和虎だった。つまり、学校以外でいつも会ってるという関係。
学校であまり会わない和虎と私。あいつが私のことをどう思っているのか、すごくドキドキしながら明日を待って行動することにした。無反応ってことにはならないと思うし、出来れば理想は――